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HP MP AT DF AG INT 合計 20 22 18 18 18 28 124 First転職者;No data +転職方法(ネタバレ注意) 転職方法(ネタバレ注意) さとりの心所持&星熊勇儀マスター&最大MP30000以上 SP MP 技名 効果 800 0 想起「テリブルスーヴニール」 120 想起「恐怖催眠術」 450 脳符「ブレインフィンガープリント」 1000 860 想起「うろおぼえの金閣寺」 霊夢装備 八雲紫 SP MP 技名 効果 800 580 想起「二重黒死蝶」 530 想起「飛行虫ネスト」 1000 770 想起「波と粒の境界」 伊吹萃香 SP MP 技名 効果 800 450 想起「戸隠山投げ」 690 想起「濛々迷霧」 1000 320 想起「百万鬼夜行」 射命丸文 SP MP 技名 効果 800 150 想起「風神木の葉隠れ」 770 想起「天狗のマクロバースト」 1000 800 想起「鳥居つむじ風」 魔理沙装備 アリス・マーガトロイド SP MP 技名 効果 800 500 想起「春の京人形」 600 想起「ストロードールカミカゼ」 1000 200 想起「リターンイナニメトネス」 パチュリー・ノーレッジ SP MP 技名 効果 800 340 想起「マーキュリポイズン」 400 想起「プリンセスウンディネ」 1000 500 想起「賢者の石」 河城にとり SP MP 技名 効果 800 420 想起「のびーるアーム」 770 想起「河童のポロロッカ」 1000 500 想起「光り輝く水底のトラウマ」 テリブルスーヴニールをやることで技が使えるようになる。 -- 海月 (2011-09-27 17 07 58) 名前 コメント
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「なぁさとり、今日は…」 「また貴方はよからぬ事を考えてるのね」 「…最後まで喋らせてくれよ」 地霊殿の主。彼女が持つ不思議な能力。「心を読む程度の能力」で会話の度に心を読まれ、こんなやり取りをするのだ 「今回は何?「(さとりの耳に息を掛けてみたい)」?くだらないことばっかり考えてるのね。貴方は」 「いやいや。お恥ずかしい」 ちょっと口から言いにくいことがあると、まずさとりを呼んで、心を読んでもらう。 そしてそこで了解をもらうと、それを行動に移したり移されたり。 先日は「ちょっとさとりの唇をプニプニしたい」というのを果たした。 なんだかんだでとんだバカップルである。 「別にやってみてもいいわよ?そんなことなら」 口では興味があまり無さそうだが、本心では凄くワクワクしている。 ○○に今、「なんでニヤニヤしてるの?」と言われるまで気が付かなかった。 ○○は当然心が読めないので、さとりがニヤニヤしていても、なぜニヤついているのかは分からない。 「じゃあちょっとやってみるよ」 「「(さとりの反応が楽しみ)」か。そんなたいした反応は…っあぁんっ!」 意外な反応に○○が唖然としてると、さとりが○○の心を読む 「はぁ。心で分かっていても、やられると反応が違って困るわね… で、何?「(うわ。予想外の反応だ。さとり凄いかわいいなぁ)」…何考えてるのよ」 「あんまり心を読むなよ恥ずかしい。ちなみにまたニヤニヤしてるぞさとり」 「…コホン「(喘ぐさとりが愛らしいなぁ)」…いや、もう。何考えてるのよぅ」 「そして語尾が嬉しそうだな」 「そ、そんなことないわよ。で、この続きは~と」 ここでさとりの動きが止まる ついでに自然と口元が緩む 「どうした?僕の心を読んでるんだよな?」 「い…いや、読んでないのよ?たまたま読んでないだけ。たまたまよ。たまたま」 この動揺。 心が読めなくとも心を読んだことが分かる。 「じゃあ代わりに僕がさっき心の中で思ったことを口にしてやろうか?」 「ちょ…ちょっとまって!心の準備が…」 「こんな愛くるしいさとりと、キスしたいなぁ」 ○○が言ったと同時くらいに、さとりの顔が赤くなっていく。 「あのさ、さとり。僕は心が読めないから返事をしてくれないと…っぅん!?」 突然さとりが○○に抱きつき、キスをした。 数十秒。時間が流れ、口を離したさとりが言う 「これが、返事よ。私の大好きな○○。「(僕も…)」っと。この先を私が言うのもなんだから、行動で示してくれるかしら?」 今度は違った悪戯っ子のような笑みを浮かべ問う。 「僕も大好きだよ、可愛い可愛いさとり。僕の返事を受け取ってくれる?」 「もちろんよ」 そうさとりが言った直後に○○がさとりの唇に自分の唇を重ねる 先ほどより長い時間が流れる 「(いつ外そうかタイミング無くなったなぁ)」 「(この唇をいつ外そうかな?ですって?ずっと離さなくてもいいのに)」 さとりの心に浮かんだと同時くらいに○○を強く抱きしめ、更に強く口付けをして舌を進めさせる さとりは心に思うとすぐに行動に移すタイプらしい。いや、○○に対しての時だけかもしれないが。 「(はぁ。心を読まれたなぁ。)」 さとりが口を離す。 「ぷはぁ。心を読まなくても、そうするつもりだったわよ」 「そうか。僕は心を読めないけど、さとりの事は分かるよ。そこそこね」 「じゃあ今私が何を思ってるか言ってみて?」 「「(○○の事が、大好き)」かな?自惚れな気もするけどきっとそう思ってるはず」 「大正解。貴方の心の中にも「(さとりのことが好き)っていう気持ちが浮かんでるわ」」 再び長い口付けが始まる… この事が猫から烏へ。烏から鴉へと渡り、幻想郷に砂糖たっぷりな新聞がばら撒かれたのはまた別の話。 うpろだ1424 ─────────────────────────────────────────────────────────── 中庭に人間が倒れていた。 旧地獄を管理するようになってからというもの、人間どころか妖怪にさえまともに会っていなかった。 最近になって、人間が二人ほど殴り込みをかけてきた程度である。 それが突然、なんの脈絡も無しに、私の日常は急変して…… 「あなたは……何?」 「えーと、俺は○○っていうんですけど……ここどこですか?っていうか俺こんな場所にいたっけ?あれ?」 「…………」 どう見ても人間である。 何をどうすれば人間がこの庭にいきなり出現するのだろうか。 いや、人間だけではなく、たとえ妖怪だって同じだ。 どうにもまともな入り方をしてきたようには見えない。 初めての事態に、私は動揺していた。 「あの、聞いてますか?あのー、すみません、あのー」 「……聞いているわ。私はここに住んでいる古明地さとり。状況が把握できていないのは私も一緒だから、 まずは落ち着いて、館の中で少し話をしましょう」 彼を館の中に招き、事情を聞き出す事にした。 何かを企んでいるようなら、すぐにでもここから追い出すか、火炉にでも放り込んでやろうと思った。 そう、私の「能力」ならば、どんな悪巧みも隠し通す事はできない。 ……しかし、驚いたことに彼に対して私の能力は通用しなかった。 彼の心の声はうまく聞き出す事ができなかったのである。 妹の前例もあったため、それほど動揺はしなかった。 ただ、ちょっぴりだけ、この人間と関わることに対して不安になった。 「それでですねー、俺はいつものように散歩を……あ、俺、早朝の散歩が日課で、というか趣味なんですけどねー、 犬の散歩してる人とかに……ってそうじゃなくて、いつものように歩いていたら急に眩暈がして、急性の貧血かー!? とか思う間もなく倒れて、というか俺は別に貧血持ってないからよくわからなかったんだけど、 今思ってみると貧血じゃなくてただ目の前が暗くなっただけというか、とにかく気付いたらここにいて、 凄い大きいお屋敷とかあるからびっくりして……あ、このお茶おいしいですね!ずずずずずずずずずず^q^」 ……前言撤回。 私がわざわざ心の声を聞き出す必要も無かった。 この人間は私が聞いてない事まで良く喋る。 彼の無駄話を要約すると、早い話が、何もわからないという事だった。 ただ、彼が人間だというならば一つの可能性が浮上する。 ――神隠しである。 地上ではよく神隠しで幻想郷の外の人間がこちらに入ってきていたように思える。 この地底だって幻想郷には違いないのだから、何もおかしい事は無い……はずだ。 「……というようなルートの散歩コースなんだけど、その通り道にはこんなお屋敷無いし、さとりさんみたいな美人もいない…… あ、変な事言ってすいません、でも、近所にこんなに猫もいないし、あ、俺、犬より猫派なんだけど、今住んでるアパートが……」 彼の話すことはもうほとんど聞いていなかったが、私はこの後彼をどうするかについて考えていた。 人間を捕って喰うような習性は無かったし、かといってわざわざ外に連れて行ってあげるほどの義理も無い。 ……そうだ、神隠しの事ならば、地上の住人が詳しいに違いない。 そう思った私は、前に地上に遊びに行ったという妹が次に地霊殿に寄るのを待つ事にして、その短い間だけは彼の面倒を見ることにした。 * * * そうして、妖怪と人間の奇妙な二人暮し(+ペット多数)は始まった。 いや、実際はそんなに奇妙なものでもなかった。 彼も前は一人暮らしをしていたらしく、家事炊事などで手伝える部分を手伝ってくれたために、単純に生活が楽になっただけとも言えた。 ただ、大きく変わったのは、私の生活の中に他人と会話をする時間が増えたという事だ。 話の内容は、日常会話に始まり、この世界の事、地底の事、私の能力の事、お互いの出生話など……。 自分のペットとさえ、こんなになって話すことは無かった。 私がいろんな話をするたびに驚いたり笑ったりとコロコロ変わる彼の表情が、ちょっとだけ面白かった。 その際に、彼は歯に衣を着せない物言いをする。 気になった事はストレートに聞いてくるし、褒める部分はベタ褒めする。 私が料理と作るたびに「凄い、マジで美味しい!俺一生さとりの飯がいいや!」とか言うし、 私が猫と遊んでいると「今のさとりの顔凄い可愛かった!ちょっともう一回笑ってみせて!」とか言われて、 ……その、正直照れる。 今までこんな経験が無かったから、自分でも驚くくらいドキドキしてしまう。 ただ、ちょっといやらしいというか、そんな事までわざわざ言ってくるのは、その、どうかと思う。 彼との生活で、私の胸の鼓動は高鳴ってばかりだった。 そしてその日常は、決して嫌なものではなかった。 ――朝起きて、彼に会うことが楽しみ。 ――今日はどこで、どんな話をするのだろうか。 それは本当に、今まで感じることの無かった不思議な感情。 ……そう、私は知らずのうちに彼に恋をしていた。 自分でも無意識のうちに他人との交わりに飢えていたのかもしれない。 不思議な闖入者の存在は瞬く間に私の心に溶け込み、蝕み、依存症さえ引き起こしているかのようだった。 そんな中でも、ただ一つだけ気掛かりだったのは、そう、彼がいつか外の世界に帰ってしまうという事だった。 * * * 外の世界には彼の生活があったはずだし、帰してあげるのが道理だ。 もちろんそれは彼にとって一番良いことであり、私のわがままで地獄に縛り付けておくなんてもってのほかだ。 そんな事実とは裏腹に、私は少しでも彼と一緒にいたくて、離れたくなくて…… 私は、○○と…… * * * 私が彼を好きになればなるほどその懸念は膨らみ、ある日、ついうっかり口に出してしまっていた。 「……へ?外の世界?」 「そう。前も言ったように、外に帰る方法は有ると思うわ。次に妹が帰ってきた時にでもあなたは……」 「帰らないよ」 「……外に、って、え?今なんて言ったの?」 「だから、俺は外には帰らない」 「で、でも、あなたは……」 「ここには俺の好きな人がいる。だから帰らないよ」 「あ……ぁ……」 こんな時にまで、○○は…… 「ま、また、そんな事を言って。あなたは普通の人間なのよ?それがこんな異世界に、ましてや地獄みたいな所にいるなんて、 普通ならあってはならない事よ……。こんな忌まわしい所にずっといるなんて、あなたにも良くないし、その……」 彼が外の世界に帰る理由を取り繕うごとに、その本意とは違う言動に、自ら傷つき、私の身体は張り裂けそうになってしまって…… 「さとりがいない世界のほうが、俺には良くない」 「っ……!!」 彼の真っ直ぐな言葉に、不安や心配なんて事はどこかへ飛んで行って、私は彼に本音を吐き出していた。 「私だって…………私だって○○のいない世界なんて嫌よ!!もっと○○と話がしたい!!もっと触れ合いたい!! もっと……あなたと暮らして…………っ!?」 気付くと、私は彼に強く抱きしめてられていた。 今までで一番○○を近くに感じで、心が一つになってしまったみたいで、 本当に、本当に嬉しくて、涙がとめどなく溢れてしまって、 ――その中で、気付いた。 「さとり……君の事が好きだ」(好きだ) あぁ、そうだったのか。 「君と、ずっと一緒にいたい」(一緒にいたい) 私の能力が効かなかったんじゃない。 心の声は聞こえていたんだ。 ただ、彼は最初から、思ったこと……本心をそのままに話し続けていたんだ。 つまり、○○は、心の底から私のことを………… 「私も好き…………大好きよ、○○」 * * * ある日、いつかの巫女と魔法使いが地霊殿を尋ねてきた。 「おーっす、遊びに来たぜ!」(何か珍しいものはないのぜ?) 「邪魔するわね」 「あら、いらっしゃい。今お茶を淹れるわ…………そっちの黒白は自重しなさい」 ガチャ…… 「ん?珍しい、さとりにお客さんか?」 「あなたは……」 「彼は○○。私の……」 「さとりの夫だ。どうだウチの嫁さんは。ちょっと性的なくらい可愛いだろう?」(性的なくらい可愛いだろう?) 「……思ったことをそのまま話すのはやめなさい…………ばか」 うpろだ1427 ─────────────────────────────────────────────────────────── 楽しかった外界旅行も明日で終わりだ。 「じぇっとこーすたー」に乗って歓声を上げていたお燐も、 かぼちゃの帽子をかぶってはしゃいでいたお空も、 人ごみに戸惑いながらも楽しそうだったこいしも、疲れて眠っている。 私の大切な恋人である○○も、隣の布団で寝息を立てている。 けれど私は、眠れなかった。 ○○。二人きりだったとしても一つ布団で寝るほど深間ではないけれど、 私のことをとても愛してくれている。 そんなにも近いからこそ、その心はしっかりと読み取れてしまう。 本人は気付いていないかもしれないけれど、 元いた世界に戻ってくれば嫌でも色々なものが心の表層近くに浮かび上がってくる。 友達、家族― 「帰って来れないくらい遠くにいるけど、一緒に歩いてくれる人がいるから」 と言って私を紹介した彼を、案じながらも祝福して送り出してくれたご両親。 暮らした町並み、お気に入りの景色。想いを伝えられなかった、初恋の人。 この旅の間、私の第三の眼は、そんな彼の記憶を一つ一つ映していた。 心を読まない、という選択肢はない。 私達の種族にとって、心を読むのは呼吸することに等しい。 今は閉ざされたこいしの眼だって、いつかきっと開けるようになる。 どんな記憶でも、どんな心の動きでも、私は読むことをためらったりしない。 けれど普段のように、読んだ内容を相手に―○○に、伝える気にはなれなかった。 ○○の「そこまでよ!」な妄想をちょっと赤面しつつもからかい半分で咎めるのとは違う。 望郷の念を指摘したら、○○はきっと、「そんなことはない」と言うだろう。 それは私の言葉を否定するためではない。私が心を読めることぐらい、○○にもわかっている。 ○○が、自分自身に言い聞かせるために。故郷を懐かしむ気持ちを、振り切ってみせると私に伝えるために。 それでもきっと、その言葉を口にする時の○○の心は、幾分悲しみや寂しさを含んでいることだろう。 だから私は、このことについて口を開かなかった。 ○○のそうした想いを、消し去ったり忘れさせたりすることはできない。 それらの記憶も、私の好きな○○を形作っているものだからだ。 けれど、私は。 ○○の外界の思い出を読むたびに、彼を私の側に縛り付けてしまうことが、本当に彼の幸せなのか、迷ってしまう。 布団を抜け出ると、私は自分と○○の布団をくっつけた。 枕に頭を乗せると、さっきよりも近くに○○の顔が見える。 今は少しでも、彼に近づいていたかった。 「ん……」 ○○が薄く目を開く。しまった、起こしてしまったろうか。 ○○は、黙って自分の布団の裾を持ち上げ、境目近くにいた私に小さく手招きした。 目覚めているのか、寝ぼけているのか。 心を読んでそれを確かめるのも忘れて、私は彼の胸に飛び込んだ。 しっかりと私を抱きしめてくれる、○○。 時々彼は、心を読めるわけでもないのに、こんな風に私の心を満たしてくれることがある。 やはり半分くらい眠っていたのか、○○はすぐにまた眠ってしまった。 私はその身体を離さないようにきつく抱きしめ返す。 抱えていた不安が解けていくのを感じながら、私も眠りに落ちていった。 新ろだ82 ─────────────────────────────────────────────────────────── ここは幻想郷の地下、地霊殿。 さとりが地上から忌み嫌われてるというもんだから 俺でよかったら友達になるよって事で それからよく遊びに行くようになった。 さとりは両手で頬杖をつきながらこちらをじぃぃーっと見ている。 「な、なんだよ。」 「ホントに貴方も物好きですね。」 「そうかな」 「こんな地上の人にとってはジメっとした空気で居心地悪いでしょうに」 「まあ、慣れたよ。しょっちゅー来るようになったせいだけどさ」 そういう日が続いて数ヶ月。 「おーい、○○~」 遠くから呼ぶ声、ホウキにまたがった魔理沙がこちらへ近づいてくる 「よっと、今日はいい天気だしたまにゃどっか遊びにいかねーか?」 「悪い魔理沙、今日も用事があるんだ」 「ん、また地下か?」 「・・ああ良く分かったな」 「まあ、よく出入りしてるって耳にするからな」 「なるほどな、まあそういう訳なんだ、すまんな」 「・・お前~まさかとは思うが・・」 ニヤニヤとした顔で顔を近づけてくる 「な、なんだよ」 「あの地霊殿の主に惚れてんじゃねーか?」 「な・・!」 「あっはは、赤くなってやんの」 「・・お前な。」 「まあ冗談だ、気を悪くするな。じゃあなー今度は予定あけとけよ~」 そう言いながら、またホウキにまたがって去っていった 「(俺は・・・そう・・なのか?)」 そういう風に考えた事がなかった。 最初は不憫に思って友達になろうと言ったが、 確かにその相手が心を読める妖怪なら よほどの物好きじゃないと中々言える言葉ではない。 それに、俺はただ不憫に思って同情したからではなく 一緒に居れば楽しそうと思ったから。 そう、今は彼女と一緒に居て楽しい。特に何もすることはないけど そばに居るだけで楽しい。いつしかそう思うようになっていたんだ。 これってやっぱり・・。 ああ・・そうだったのか・・ ・・やばい。今この状態でさとりに会うと読まれてしまう・・。 知ってしまった気持ち。 気づいてしまった好意。 知られてはならないと思った。 知られるとどうなる? 軽蔑? いやもともと人間をよく思ってないかもしれない、 そこでそういう事を知るとどんな事を言われるか分からない。 いずれにしろ今の楽しい関係が終わる事は間違いない。 それは嫌だ。 でも、今のこの状態では会えない。 会いたい。でも会うわけにはいかない。 そうだ、 この気持ちが治まるまで会わなければいいのだ。 そうするしかない。 きっと一時の感情だ。そのうち冷める。 しばらく忘れればいいんだ・・。 ―――1ヵ月後 だ、だめだ・・忘れるどころか離れれば離れるほど 日が経てば経つほど気持ちが強くなってゆく。 あーチクショウー 会いたい。今すぐ会いたい。 俺はどうすればいい?誰か教えてくれ・・ ――――――――― 「(・・彼、急に来なくなったけど、どうしたのかしら)」 3日に1度は遊びにきてた○○が、突然こなくなってから1ヶ月。 地上で何かあったのかしら・・。 私がなにか彼を傷つけるような事を言ったとか・・? ・・いえ、それはないわね。 彼が最後に来た時の心にはそのような部分は無かった。 むしろ、また明日も来るつもりだったくらい。 急に飽きた、と考えてもやはりそれも不自然。 いえ、、そうであって欲しくない・・。 ガタ 「さとり様?どこへ行くんですか?」 「地上。」 「え、、えぇーーー!?」 「お燐、その間、留守番お願いね」 「は、はぁ。い、行ってらっしゃいませ・・」 こういうのはペット達に任せればいいのに どうして自分で行こうと思ったのかしら・・。 でもそれはすぐに自分で理解した。 ・・いち早く心を読みたい。読んで確かめたい。 そう、彼が地上に居る間に私を嫌うような何かを聞かされている可能性があった。 人に嫌われるのは慣れているはずなのに、 私は彼に嫌われるのを怖れている。 彼にだけは嫌われたくない。 友達になろうって言ってくれたときの彼の心の中、今でも覚えてる。 彼は本当に仲良くなりたいと思っていた事に私は既に興味を抱いていた。 彼の心の中はいつも温かかった。一瞬たりとも私を嫌わなかった。 そればかりか、一緒に居て楽しいとまで考える程の変わった物好きさん。 そんな彼が周りの言葉に影響されて私を嫌うだろうか? 違うと信じたい。だから確かめたい。それを、今すぐ。 私は眼の力を頼りに探し回った。 ・・・ ここですね・・。 彼は自分の部屋で寝ていた。でも酷くうなされているようね・・。 さっそく心を読んでみる。 ・・しかし彼の心がうまく読み取れない え、どういう事? 彼の心に強いプロテクト反応。 読まれたくない彼の強い心が無意識のうちに張られているのでしょうか・・。 そこまでして・・知られたくない事なの・・?○○・・。 ・・無意識・・?妹と同じ・・? この感じは・・ ―――――――― ここは、どこだ・・? あたり一面真っ白な世界。 「○○、聞こえますか?○○」 聞き覚えのある声が聞こえる。 俺がずっと聞きたかった声だった。 「さとり・・?」 「どうしてここに?って、ここ何処だ?」 「ここは貴方の夢の中。」 「くそ、またあんたの夢か。。ほぼ毎日じゃねーか・・」 「○○・・ひとつ聞いていいかしら?」 「な、なんだよ」 「貴方は私の事をどう思ってるんですか?」 「・・どうって、、どうせもう読んでるんだろ?」 「いいえ。ここは夢の中だから、貴方の心の中。 つまり貴方がここで言わないと私には伝わらないわ」 「夢の・・中なら、言ってやるよ・・よく聞いてろよ、言うからな」 「はい。」 「俺は、俺はあんたが好きだ。大好きだ。もう、何度も夢に出るくらいあんたを想ってる でもこの気持ちを知られたくなかったんだ。あんたに、さとりに 心を読まれるわけにはいかなかった。だからずっと会わないようにしていた。 あんたに・・あんたに嫌われたく無かったから! それだけじゃない。どうせ伝えるならせめて先に心を読まれずに言葉で伝えたかった。 それが出来るなら嫌われてもおそらく後悔はしなかった。 確かに心の中は真実だ。でも、それで伝えても駄目なんだ・・。駄目・・なんだ」 ポロポロと溢れる涙。 ずっと溜まっていたものが全て吐き出されるように、 伝えたかった言葉と同じように、涙が零れ落ちる。 全て伝えた。夢の中だけどスッキリした。 そう思った時・・ ・・!? さとりが近づいてきて俺を抱きしめて口を重ねてきた。 「ん・・」 「・・ありがとう○○。私もすっきりしたわ」 「・・・さとり」 もう1度口を重ねる。 今度はこっちからだ。 「ん、ちゅ・・○○・・私も・・好き・・大好き・・ん・・」 「・・愛してる・・さとり」 さとりの肌の感触、唇の感触、匂い、掛かる息 夢とは思えない程にさとりを感じた。 ――――――――― 目が覚める。 自分の部屋の布団の中。 その腕の中にはさとりが居た。 俺の腕はさとりをずっと抱きしめていた。 彼女もずっと俺を抱きしめていた。 目が合う。 言葉より先に唇を重ねた。 夢の中のキスと同じ味がした。 「・・ごめんなさい。貴方が心を開かないから夢の中で無理やり聞いちゃった」 「・・そんな能力も、あったのか?」 「いえ、貴方と同じ布団で寝て、傍で貴方を感じれば会えると思っただけ」 「・・そうなのか」 「貴方の気持ち、ちゃんと聞けたわ。嬉しかった・・」 「俺もだ。夢の中とはいえ、自分の意思で思いを伝えれた。 それに、嫌われるどころか受け入れてくれた。これ以上嬉しい事なんてない」 「嫌うわけないじゃない、まったく・・」 そう言ってさとりは俺の鼻の頭にキスをする。 「どうして貴方が妹と同じ感じがしたのかやっと分かったわ」 「・・こいしと?」 「ええ、あの子は嫌われない為に自ら心を閉ざしたの。」 「第三の眼の事か。。」 「ええ、貴方は人間だからそんな眼は元から無いけど、 あの子の考え方が貴方と似ていた。だから私は分かった。だから信じれた。」 「俺が怖れてる事を、か」 「・・私も貴方に対しては貴方とあの子と同じ気持ちだったわ」 「・・・。」 「地下の連中、心配してないか?」 「ん・・今日はずっと一緒にいる」 「そうか。」 「なあ、さとり」 「はい」 「愛してる」 「・・私も」 その日、二人は一日中愛を確かめ合った。 「さとり様・・帰り遅いね、おりん」 「・・そうだね、おくう。」 一方、地霊殿では鴉と猫のすすり泣く声が響き渡っていた。 新ろだ165 ─────────────────────────────────────────────────────────── ※補足 "~"は○○の心の中としてみてください。 今日はクリスマス、恋人同士が祝う至福の一時。 舞台は人気の無い丘の上。そこに二人で寄り添って座っている青年○○と少女さとりがいた。 「今日は本当に楽しかったわ、ありがとう○○。」 「さとりが楽しんでもらえて何よりだよ。」"さとりの楽しそうな顔も見れたし。" 「もう………ばか////」 俺とさとりはクリスマスデート中人気の無いこの丘の上を見つけてしばらくそこで談笑していた。 「……ごめんなさい、○○」 「え?」 「本当はもっといい場所があったのに、私の能力の所為で行くことができなくて…」 そう、幻想郷はクリスマスなだけあって村の方もイルミネーションとかが出来てたりして、デートスポットとして絶好の場所だったのだが俺達はあえて避けた。 さとりは心を読む程度の能力を持つ妖怪。 人のいる場所に行くと嫌でも心を読んでしまう。 ましてや今日はどこもかしこも人が多い。そうなると心の読む量が多すぎてさとりの頭がパンクしかねない。 だから俺達は人の少ない場所を探し、ここを見つけ俺達なりにクリスマスの最後を飾ろうと思った。 でも、さとりにとってそれは俺への罪悪感として出てしまったのだろう… 「私の能力の所為で…こんな能力無かったら……もっと…もっと○○と色んなところ行けたのに……!!」 「さとり…」 「え……」 気が付いたら俺はさとりを抱き締めていた。 「大丈夫だよ…。俺は、さとりと一緒ならどこでもいいから…」"だから悲しそうな顔、しないでくれ" 「○○……ごめん、なさ………ごめ、なさ………」 …なにも好きで能力を得たわけじゃない。 さとりだって普通にデートしたかったはずだ。 でもそれも無理だとわかりきっている事、言いたくても言えなかった本心。 泣きながら謝り続けるさとりが泣き止むまで俺はずっと抱き締めていた。 しばらくして…。 「…落ち着いた?」 「ぐす…うん。」 「さっきも言ったけどさ、俺はさとりといれればそれでいい。場所なんて関係ない、俺は古明寺さとりの側にいたいんだよ…。」"…今、恥ずかしい事言ったかな俺……?" 「うん…ふふ、今のすごく恥ずかしかったでしょ?」 「ああ、今更だがすごく恥ずかしい…。」 「でも…嬉しい……。」 「……なんか渡すタイミングが悪くなったかな。」"プレゼントの事すっかり忘れてた…" 「?…あ、この前言っていたやつね。」 「ああ、もらってくれるか?」"さとりの為に必死になって選んだんだぜ" 「もちろんよ、中身は何かしら?」 「まあ、見てのお楽しみ。…あと大事な話があるんだ。」"驚いてくれるかな…" 「…これ……」 「さとり…俺と……結婚…してくれないか。」"さとり…愛してる。" 「………はい、喜んで。」 人気の無い丘の上で、二人はゆっくりと唇を重ねた。 新ろだ221 ─────────────────────────────────────────────────────────── ちらちらと雪が舞う。 あたりを染め上げる白、肌を刺すような寒さが幻想郷の冬を語っていた。 隣に目を向ければそこには一心に降る雪を目で追う彼女の姿。 とはいえ寒いものは寒いのだろう。厚着はしているものの時折身体を震わせている。 「さとり、大丈……」 「大丈夫。平気よ」 「……最後まで言わせてくれよ」 身を案じて声をかけようとしたが先に返答されてしまった。 心を読む程度の能力。 わかってはいるのだが、なんというかずるい。 しかもそれも読まれていたようで、さとりは優しく微笑むとこっちに身体を寄せてきた。 「こうすれば寒くないでしょう」 「だから、ずるいってば……」 優しい微笑みのはずなのに意地悪な笑みにしかみえないのは俺が気にしすぎだからだろうか。 身体を俺に預けたままクスクスと笑うさとり。 そんなさとりに憮然としまま再び目を降る雪に向ける。 「なあ、別に雪なら旧都でも見られるだろう?」 ――なら同じじゃないか? どこで見ても。 「そうでもないわ」 さっきのようにずるいと思うこともしばしばある。 だっていうのに、こんな風に会話と会話の間が飛ぶのが普通に感じている辺り俺も慣れてきてるんだろう。 いい傾向なのかどうかわわからんが。 にしても同じじゃない、か。 それの意味するところを漠然と考えて……あんまりといえばあんまりな考えに至り、思わず苦笑をもらしてしまった。 すると急にくいっと袖を引かれた。 つられるようにしてそっちを見るとそこには今度こそ意地悪な笑みを浮かべたさとりがいた。 「……なんだよ」 「言ってほしい?」 「だから、なにをだよ」 「言ってほしい?」 「うぐっ……」 だからこういうところがずるいんだ! そんな心の叫びも読んでいるだろうにさとりはニヤニヤと笑うのをやめない。 しかも言ってほしい? って聞くって事はつまりさっき俺の考えが当たりということで。 そう思うと顔に急激に熱が集まってくるのが分かる。きっと俺の顔は今頃真っ赤だろう。 ああもうどうすればー!? と、おろおろと狼狽するしかない俺だったがさとりはそれで満足したのか、全身で俺に抱きついてきた。 ぎゅっと身体を密着させる。そして 「だってここには、貴方がいるもの」 その言葉に返すような言葉をあいにくと俺は持ち合わせていない。 だから行動で示した。 俺もまた全身でさとりを包み込むように抱きしめる。 お互いの熱が、冬の寒さから守ってくれる。 そのままどれくらいたったのか。どちらともなく顔をあげ、見つめあう。 多くの言葉はいらない。本当は俺がさとりを、さとりが俺を想い合うだけで十分。 それでも言葉がほしい時がある。 今日、この日が何の日か。幻想郷には本来ないイベントだけど彼女には教えてある。 だからこの場で一番ふさわしい言葉を、言おう。 俺とさとり。 どちらともなく口を開き、タイミングは寸分の狂いも無く。 「「メリークリスマス」」」 そう言って、俺達はキスを交わした。 新ろだ230 ─────────────────────────────────────────────────────────── 地霊殿での午後のティータイム。 こいしは留守にしており、お燐とお空もさとりのお使いで出かけているので、○○とさとりの二人きりだ。 「さとり……何読んでるの?」 「ん……この間地上で仕入れてきたのだけど」 さとりが手にした本の表紙を見ると、○○には見覚えのあるタイトルや絵柄が目に入った。 自分のいた世界―幻想郷の外から地上経由で入ってきた漫画だとわかる。 さとりとはまた違った形で第三の眼を持つ妖怪の少女と、不死の青年の冒険譚だ。 「ああ、懐かしいな。俺も外にいた頃読んだことあるよ(紅茶飲みながら読むものではない気もするが)」 「そうかしら?私はあまり気にならないけど」 そう言ってさとりは本をテーブルに置くと、砂糖壷から取り出した角砂糖を自分の紅茶に沈めた。 口に出さない思考に対して返事がくることに○○も慣れつつあるため、当たり前のように会話が進む。 「『いつか、きっと君を人間にしてあげるよ』……か。ねえ○○」 「なんだい?」 温かな紅茶を啜りながら、○○はカップごしにさとりを見た。 今しがた投下した角砂糖がゆっくり溶けていくのを眺めながら、視線を合わせずにさとりが問いかけてくる。 「○○は、私が普通の人間だった方がよかった?」 唐突に投げかけられたにしては深遠な質問に、○○は少し考え込んだ。 さとりは心を読む妖怪である。 (最初は……やっぱり考えが筒抜けだってこと、落ち着かなかったな) それは恐怖や嫌悪というよりは、戸惑いであったけれど。 (でも心を読むってことは、読み手の方にもそれを受け入れる強さが要るってわかってきて) さとり自身や妹のこいしと関わるうちに、その戸惑いも薄れていって。 (だんだん、そんなさとりの強さに惹きつけられて) やがて、ただの人間だということを差し引いても相手の心を読み取るのはさっぱりだった○○がさとりの好意に気付いたとき、 晴れて二人は恋人同士になった。 「……人間じゃないところも含めて惚れたわけだし、今のままのさとりのことが好きだよ」 そう口にしたところで○○は、そこに至るまでの思考がそのまま答えになっていたことに気付いた。 慣れたとはいえ、まだ時々こんなことになってしまう。 さとりはと言えば、頬杖を突いて○○の方をにこにこと眺めている。 「ありがとう、○○」 「さとりは、人間になりたいとか思ったことある?」 「どうかしら。そうね、もしもの話だけれど、私が人間になったとしたら―心を読めなくなったら」 ふと遠くを見るような目をすると、さとりは自らの第三の眼を撫でた。 「きっと、とても心細いでしょうね。人間で言えば、突然目も耳も使えなくなったみたいに。 それに、それまで私を恐れていた者が、力を失ったのを知ってこれ幸いと襲ってくるかもしれないわ」 顔を上げ、優しく透きとおった目で○○を見つめる。 「もしそうなったら……守ってくれ、なんて言わないけれど、最後まで側にいてくれる?」 仮定とはいえ、自分の存在そのものとも言える力を失う話をしているのに、さとりの声に恐怖は感じられない。 けれど○○はその視線に、わずかに縋るような色が混じるのを見た気がした。 それは、○○に間髪入れずに答えを紡がせるのに十分なものだった。 「当たり前だろ(でも、少しでも……さとりを守れるように、なりたいな)」 「そう。そんなに想ってくれるのなら……人間になって、貴方と同じ時間を生きるのも良いかもしれないわね」 「ああ……」 普段は意識することもないけれど確かに待ち受けている、十中八九さとりを置いて死の先へ行くことになるという未来。 さとりの言葉が想起させたその事実が、○○の顔に悲しげな表情を浮かばせる。 (そうか、寿命が違うんだものな。でもさとりの時間を縮めさせるぐらいなら、俺が―) 「無理はしないでね。私も、今のままの貴方を好きになったんだから。それに」 さとりは微笑んだ。心の強さ、○○への愛情、年月を経た妖怪の凄み、諸々を溶かし込んだような、艶然とした笑み。 ○○は、そこから目が離せなかった。 「貴方と一緒なら、例え命を落としてもかまわない。ええと……そう、夕に死すとも、というやつかしら」 そこまで言うと、さとりは妙に重たくなってしまった雰囲気を振り払うように立ち上がった。 「さ、晩御飯の支度をしましょうか。そろそろ皆帰って来そうですし」 「……そうだね、手伝うよ」 立ち上がり、ドアに向かおうとした○○に、さとりが手を差し出す。 ぎゅっと、○○はその手を握る。 手を繋ぎ、二人は寄り添って歩き出した。 その夜。 「あれ、さとりは?」 夕食の後から見えなくなっていたさとりの行方を、○○は居間にいたこいしとお燐に訊いてみた。 「あ、おにーさん、さとり様ならお部屋だけど……」 「○○さん、お姉ちゃんのこと、そっとしといてあげてね。久しぶりにはまった漫画みたいだから」 こいしは困ったよう顔で笑いながらそう言った。 「ほら、中身を知ってる人が近くにいると、お姉ちゃん先の楽しみがなくなっちゃうかもしれないから」 例えば、これからさとりが読もうとしている部分のストーリーを近くで思い出したりすると、 有効範囲内なら第三の眼がそれを読み取ることになり、オチがわかってしまう、ということらしかった。 昼間話している時は、○○が細かな話を思い出したりしなかったから良かったものの、 下手をすれば昔読んだ内容を強制的にさとりに伝えてしまうことになりかねないわけだ。 「普段なら新しく入ってきた本は、大丈夫なようにまず最初にお姉ちゃんが読むんだけどね。○○さん、あの漫画読んだことあるんでしょ?」 「危なかったなあ……ちょっと待った、昼間さとりが読んでたのってかなり最初の方だったような」 ○○の記憶が確かならば、あの作品は結構な長さのはずだった。 「そうだねえ……あたいとお空が頼まれたお使いって、 あれの続きを最終巻まで買ってくることだったんだけど、結構な量だった気がするよ」 「読み終わるまでさとりと会えないのか……何日かかるんだろう」 「あ、いたいた。○○ー!」 途方に暮れた○○の名を、お空が呼んだ。 「さとり様からね、伝言だよ。 『続きが楽しみだけど○○に会えないのは嫌だし、徹夜で頑張って読みきるから、先に休んでて』って」 「休んでて、って言われてもなあ……」 最後まで読み通すのであれば結構な時間がかかるはずで、 その後さとりが休むのであれば、○○が起きる頃に眠ることになり、結局一緒に過ごせなくなってしまう。 それはそれで、○○は少し寂しい気がしていた。 しばらく考えた末に、ぽんと膝を打つ。 「よし決めた。俺も何か徹夜して、さとりが読み終わったら一緒に休むことにする」 「……うん、お姉ちゃんもその方が喜ぶんじゃないかな。せっかくだから皆で何か遊びましょ?」 「はーい、私大富豪がいい!」 「あたいは人生ゲームがいいなあ」 ……こうして、主が漫画に熱中している間、恋人と妹とペットはゲーム大会を開催するという、 地霊殿のいささか不健康な夜が更けていくのだった。 新ろだ292 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「○○、お茶が良い?それとも珈琲の方が良い?」 私の問いに彼は少し考えた後珈琲と答えた。 だが彼は答えを口には出してはいない。何故答えを知り得たのか。それは私の忌むべき力、人の心を読める力の性である。 この力を持ったばかりに私に対する風当たりは酷いものであった。人間、果ては妖怪にまで疎まれる程である。 生まれて一度もこれを快く思った事など無い。が、この○○だけは別だった。 ○○、一見するとごく普通の人間なのだが――地下に普通の人間がいる事自体普通では無いのだが――しかし彼は問題を一つ抱えていた。 先天的な病気なのか、後天的に生じた障害なのか。それは私の知る所では無いのだが、彼は声を出す事が出来なかった。 心を読める、そんな力を持ったと知った時彼は酷く驚いていたのを私は良く覚えている。 こんな反応をされるのはもう慣れている。が次に彼が心で思った事は予想外であった。 君は凄い、ならこれは分かる?、人と話が出来てとても嬉しい、君ともっと会話がしたい。 私に対する賞賛、そして嬉々とした言葉。恐れや侮蔑はあれど、このような言葉が出てくるとは驚きだった。 話を進めていく内に彼の地上での話も聞くことが出来た。 声が出せないそれは嫌と発する事が出来ず、反論も出来ず、他者に都合の良い解釈をされる。上の世界は自分には生き辛い世界だったと。 話終わると彼の目には涙が浮かんでいた。私はハンカチを彼に渡すと 「しばらくここに住んでみない?貴方が良ければの話だけど」 何故こんな事を言ったのかは良く覚えていない。あの時から惹かれていたのだろうか。 少し考えた後彼は首を縦に振り。お願いしますと心の中でつぶやいた。 こうして○○はしばらく地霊殿に滞在する事になった。 その間、どこへ行くにも私は彼に付いて回った。私の力抜きではまともにコミュニケーションを取れないからだ。 私を必要としてくれる○○、誰からも必要とされなかった私。私が彼に好意を抱くのにそう時間はかからなかった。 珈琲の入ったカップを彼の前に置くと、彼と向き合うように私もイスに座った。 美味しそうに珈琲を飲む○○、私は彼にある質問をしてみる。 「ねぇ、ここに住んで一ヶ月程経つけど…地上に帰りたいと思った事は無い?」 すぐに一度も無いよ、と返事が帰ってきた。 「そう…両親の事とか恋しいと思わない?」 これはすぐに返事が返って来なかった。目を伏せ、少し考えているようだ。 恋しいと思う、けれどもうこれだけ時間が経っているなら死んだと思っている筈。 何よりもさとり抜きでの生活は考えられない。 「……最後の部分、私は人と話をする為に必要という事なの?それとも…」 言うより早く、違うそう意味ではなく、ずっと傍にいて欲しい。地上に帰るにしても君も一緒に連れて行きたい。 そう返事が返ってきた。彼の顔が仄かに赤みがかっている。 私もその返事の性で顔が真っ赤になってしまった。飼っている連中が見ているのならきっと囃し立てられるだろう。 何とも言えない雰囲気が場を支配してしまっている。 「………あ、珈琲もう一杯いる?」 何か一言をと思って出た言葉がこれだった。 さとりのいれた珈琲なら何杯でも。彼がそう答える。 「馬鹿」 「でも…そう言ってくれる相手がいるっていうのは嬉しい事ね」 言える相手がいて僕も嬉しいよ。また彼が。 クスっと少し笑うとまた私は部屋を後にした、愛しの彼に珈琲をいれてあげる為に。 新ろだ350 ─────────────────────────────────────────────────────────── 猫のお燐を膝に乗せながら部屋で本を読んでいると、扉の開く音。 何事かと思って見ると、トレイを持った○○だった。 「……何をしているの」 「お、お茶をおもちしました」 ○○が持っていたトレイのカップを二つ、たどたどしい手つきでテーブルに置く。 言動を見る限り、話に聞く地上のメイドの真似事をしているらしい。 そういう事はしなくていいと言ったのに、とお燐を撫でながら思う。 しかし、よくよく考えてみればこれは好機なのかもしれない。 ○○が私に近づいてくる事はあまりない。私以外とは仲良くやっているのに。 初めは私の能力を恐れているのだろうと思い、諦めていた。 しかし、ふと彼の心を読んだとき、別の理由である事が分かった。 私がこの地霊殿の主である事から、自分の事を構っている暇も無いくらいに忙しいと思っているらしい。 その為、私に迷惑がかからないように距離を置くようにしている、という彼なりの気遣いらしく、私を恐れている訳ではないらしい。 恐れられていないならば、私も彼と仲良くなっておきたい。素直で良い子なのは見て分かる。 ただ、機がやってこなかった。 その彼が、自ら私に近づいてきている。 それに、せっかくの彼の好意を無碍にするのは気が引ける。 「……ありがとう」 私が言うと、少しはにかんだような笑顔で会釈したあと、そのまま立ち去ろうとする。 もちろん、このまま終わらせる訳にはいかない。 「一緒に飲みましょうか」 私が言うと、○○は驚いたような顔で振り向いて、首を横に振った。 彼からしてみれば当然の反応なのだろうか。 しかし、私からすればその反応は納得がいかない。 「……飲まないの?」 「僕の分がないから……」 「じゃあ、カップが二つあるのは何故かしら?」 と、聞くと○○は私の膝の上にいる、二又の尾を持つ黒猫をじっと見つめた。 なるほど。 「お燐の分も入れてきてくれたのね」 「うん」 「なら、言うべきだったかしら。お燐はお茶飲めないのよね、猫舌だし」 「にゃ!?」 お燐が尻尾を立てて抗議を申し立ててくるが、身体を撫でて宥める。 それでも尚、にゃあにゃあと鳴くので無視する事にした。 言いたい事があるなら人の姿になればいい。心は読めるが、猫の言葉では私には通じない。 私は猫ではないから。 「あ、そうなんだ……」 「余ったお茶が勿体ないわ。だから、一緒に飲みましょう」 「で、でも……」 「従者は主の言葉に忠実でなければならないのよ」 ○○が何を考えて躊躇しているのか、心を読む必要も無いくらいに分かる。 メイドの真似事で、主と飲むべきではないと考えている。 しかし、ここは地霊殿。地上とは違うルールが存在する。 主は私なのだから、ルールを決めるのは私である、としておこう。 ……○○が首を傾げている。言葉が難しすぎて理解出来なかったようだ。 一人で空回りしていたような空気になり、少し恥ずかしい。 「えぇと、あなたは私の言うことを絶対に聞かなくてはダメなのよ」 「……そうなの?」 「あなたのご主人様は、今は私でしょう?」 「うん」 「ご主人様の言うことは絶対なのよ。だから、一緒に飲みましょう?」 「え、あ、うん……」 釈然としていない様子だが、納得はしてくれたようだ。 膝の上の黒猫が未だに何かを訴えてきているらしいが、私の心には届かないので身体を撫でておく。 まぁ、お燐がお茶を飲める事は知っているが、今回は機が無かったという事にしてもらおう。 カップを持ち、口に運ぶ――前に味を期待させる香りが鼻腔を擽る。カップを覗くと、濁りの無い紅色の液体がゆらゆらと揺れている。 お茶、と言うよりは紅茶だった。やはり、地上の紅魔館のメイドが元らしい。 別段、嫌いでもないので気にはしない。 今度こそカップを口に持っていく。 「どう……ですか?」 紅茶を喉に通して、カップを皿の上に戻す。 そして、心配そうな表情の○○を見据える。 出来る限り、優しい笑みを浮かべながら。 「……美味しいわ」 そう言ってあげると、○○はぱっと嬉しそうな表情に変わった。 心がざわつく。今まで弱々しく刺激されていたある欲求が、急に強い衝撃を受けて暴れまわる。 一度目を瞑って深呼吸。乱れた精神を統一する。主として、情けない所を見せてはいけない。 心を落ち着けた所で、目を開ける。 私の一言が嬉しかったらしく、眩しいくらいの笑顔で紅茶を飲んでいる。 あぁ、もう。愛しい。 精神統一なんてただの気休めだった。気を抜いてしまえばすぐに頭に手が伸びそうになる。 頭を撫でてあげたい。それだけなのだけれど、彼の頭に手を置いた瞬間に主としての風格が崩れる気がしてならない。 彼の前だけでならばそれでも構わないのだけれど、膝の上には不貞腐れているお燐がいる。 お燐には見せられない。 ある意味、お燐が最後の防壁となっている。お燐がいなくなったとしても、空やこいしが部屋に入ってくるかもしれない。 空はともかく、こいしに見られるのだけは避けなければならない。恥ずかしいどころではない。 でも、紅茶は美味しかったのだから、彼の頭を撫でてあげたい。 そう。これはご褒美。だから、彼に触れる事は断じておかしな事ではない。主として当然のこと。 むしろ、問題なのは褒める事もしない主。主としてではなく、心持つべき者としてやり直すべきだと思う。 その時、お燐が私の膝から飛び降りた。 仕事でも思い出したのかと思って、視線で後を追うと、扉の前で一度振り返る。 もちろん、目が合った。 『さとり様も何だかんだで○○とじゃれ合いたいんですね』 お燐が、心を通じて私に言ってきた。 違う。断じて違う。私は○○から美味しい紅茶を頂いたのだから、それに対する褒美をあげなければならない。しかし、それを言っても彼は首を振るだろうし、それに言葉だけでは誠意が無い。主としてあるべき姿に加えて、生きとし生ける者として当たり前の誠意を示す必要がある。その為に、欲の無い彼に対して頭を撫でてあげる事で、彼に対する私の愛情を示す事が出来るのだし、何より私のペット達が私より○○と仲が良いというのが気に食わない。だから私は彼ともっと仲良くなりたいので頭を撫でる。 ハッとして、我に返ると、お燐はニヤニヤしながら私を見ていた。猫なのに。 私が咄嗟に顔を逸らして、ようやく部屋から出て行った。 恥ずかしい。とてつもなく恥ずかしい。 先ほどの仕返しと言う事なのだろうか。今度膝の上に乗ってきたら倍にして返してやろう。 まさか他人に心を読まれる事がこんなに恥ずかしい事だなんて思いもしなかった。 川があったら飛び込みたい。こいしがいたら泣きつきたい。 お燐がいなくなり、部屋は私と○○の二人だけになってしまう。 ○○は訝しげに私を見ている。どうやら、今の私は顔が赤いらしい。 頭を撫でて気を逸らす。念願が叶ったというのに、感慨なんて全く無かった。 「そ、外に出たらどうかしら?」 「えっ?」 一人にして欲しい、とまで思ってしまう。少し心を落ち着けたい。 ○○と二人きり。ゆっくり話が出来る、本来ならば喜ぶべき一時。しかし、お燐のせいでどうすればいいかわからなくなってしまっている。 また機会はあるのだろうか。その機会はいつになるのだろうか。 分からないから、もっと一緒にいたい。しかし、今は一人にして欲しい。 「ずっと中にいては不健康だわ。たまには外に出て思いっきり遊んできなさい」 ついにはこんな言葉まで出てしまう。気持ちとは裏腹の言葉。だけど、私の気持ちそのままの言葉。 心を読む側が、こんなに心を乱されるのは情けないかもしれない。しかし、落ち着けるには時間が必要。 ○○もまだ私と一緒にいたいのだろうか。何だか寂しそうな目で私を見ている。 そんな目で見ないで欲しい。罪悪感に心が支配される。 しかし、次の言葉で我に返る事になる。 「じゃあ、さとり様も外に出ないと」 その発言は、私の心を抉るには充分すぎた。 昔はこいし共々、外に出ていた。 心を読むという事が、どれほどまでに他人の内側を土足で上がりこみ、暴れまわり、汚される事なのかも知らずに。 それに気付いた時は、周囲は私たちを敵とみなしていた。 私は人と接するのをやめる事で何とか心まで壊れるのを回避できた。 しかし、こいしは耐えられなかった。心を閉ざし、人に認知される事を避けた。 今は改善されてきているが、初めは私が相手でさえも変わりなかった。 「あ……ごめんなさい」 表情に出てしまっていたのか、○○が謝ってくる。 責めている。何気ない一言が私を傷付けてしまった、と自分を責めている。 「気にしてないわ。だからあなたも気にしないの」 「で、でも……」 こんな言葉で話が終わるとは思わなかったが、やはり終わらない。彼は先の言葉を言おうとする。 しかし、それ以上は言葉にならなかった。目に涙を溜めて、俯く。 外で私に対する周りの目を知ったのだろう。彼が聞いた話では、やはり私はあまり好ましく思われてはいないらしい。 だからこそ、余計に自分の軽率さを責めているのだろう。 なんて声をかけてあげればいいのか分からない私に、○○はぽつりと呟くように先の言葉を紡いだ。 「心を読まれるから近付くなって、言われた」 「……仕方の無いことね」 「どうして? 心読まれたからって、さとり様はひどい事しないのに」 「それは……」 「さとり様は、本当は優しいのに、みんな……」 そこまで言ったところで、彼の目からとうとう涙が溢れた。 零れる涙を拭おうともせず、真っ直ぐに私を見つめながら。 この環境に慣れてしまった私の代わりに、泣いている。 自分の事でもないのに、自分の事のように嘆いている。 「――――」 椅子から降りて、小さな身体を抱きしめる。 私の為に泣く必要なんかない。 その涙は、私のような妖怪に流すべきではない。 「……○○」 「……っ……」 抱きしめる腕に力を込める。 ようやく、私の背中に手を回して、胸に顔を埋めてくれた。 「……ありがとう。でも、大丈夫よ」 まだ嗚咽を漏らす○○の頭を優しく撫でながら、語りかける。 「確かに、私は恐れられているかもしれない。人妖、両方に」 彼の腕に力が込められる。 そんなことない、と否定する彼の優しさに愛しくなる。 「でも、ここのペットたちは皆、私を慕ってくれている。私の事を分かってくれている」 ○○が顔を上げて、涙で赤く腫れた目で見つめてくる。 自分も、と訴える様子に微笑ましくなる。 「もちろん、あなたもよ」 彼はまだ誰にも開けられずに、自分の心に閉まっておきたい事が無いから。 だから分からない。心を読まれるという事が、心ある者にとってどんなに恐怖であるか。 だからこそ、私の為に泣いてくれる。優しすぎるが故に。 「私には、あなたたちがいるから大丈夫」 そして、その優しさに甘えてしまう私。 私に抱きしめさせてくれる、唯一の人間。 言葉だけでは物足りなくなり、自分の心を伝えるように一層強く抱きしめた。 彼の涙が止まるまで。 どれくらいの間そうしていたのだろうか。 胸の中の嗚咽が聞こえなくなった事に気付き、○○の顔を覗き込む。 泣き疲れたのだろうか。安らかな表情で、規則正しい寝息を立てていた。 起こさないように抱き上げて、椅子に戻る。 私の為に泣いてくれたその優しさに、私は何を返せるのだろうか。 「…………」 ――まだ、考えなくていい。 この子がいる限り、返す機会はいくらでもあるのだから。 今はただ、この子と一緒に歩んでいこう。道を踏み外さないように、しっかりと手を繋いでいけばいい。 ふと、テーブルの上のカップが目に入った。 それを手に取って口へと運ぶ。 既に冷めていたが、私の心を温めるのには充分だった。 新ろだ393 ───────────────────────────────────────────────────────────
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さとりのテーマソング。さとりの攻撃内容が強攻撃である「想起」に固定される。 想起では相手の強攻撃をさとりの戦闘力と相手の戦闘力の合計で威力計算して繰りだすので、本家より強い攻撃をガンガン繰り出すことが出来るようになる。 自分自身の攻撃で沈んでいく相手を眺めて悦に浸ろう。 こちらの戦闘力が低くとも高戦闘力の相手とまともに張り合えるので戦闘面で大きく優位に立てる。 耐久力はそのままなので先手を取られてさとりを倒されないようにお伴でしっかりと守ってあげよう。 相手にEasy系統やリリーが居るとむしろ足を引っ張られることもあるのでそこは注意。 曲を出す前に予め心を覗いておくと良いかもしれない。 しかしピンポイントで数回攻撃するだけならば想起-3rd eye-を何枚か入れておけば良い、という結論になってしまう。 折角使うからには積極的に出向くように心がけよう。 確実ではないが相手の場に永琳が居る時に擬似蓬莱の薬として使用することも可能。
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人柱について今回はお話させていただきます。 柱といっても、用法は複数あります。 一、狩人保護の為 二、自分を確定人外としている占い師を破綻させる為 三、自分を吊れば詰み進行となる為 四、狼が、狐を把握しており、飽和を回避する為 五、狐生存確定な状況での、告発誘導の脅迫の為 まあ、主立ってはこんなところでしょう さて、これらの用法には、一つ大前提があります。 ~前提条件~ その柱を吊っても、敗北確定・または濃厚でない事 または、敗北を回避するのが目的である事 では、この前提を踏まえた上で、それぞれの用法の具体的な話をしていきます 一、狩人保護の為 発動タイミングとしては、狩人生存濃厚・確定な状況であり、前提条件を踏まえた上で、村陣営が行う柱宣言として、吊り余裕があることが条件です。 効果は、文字通り狩人保護、つまり狩人の生存状況の維持です。 代償としては、その日の投票等による情報と吊り数1回が必要となります。 二、自分を確定人外としている占い師を破綻させる為 発動タイミングは、信用がある占い師候補が、自分を確定人外としており、かつ、自分を吊られても即時敗北とならない事。 効果は、他の村人へ偽占い師を破綻で知らせる事です。特に自分をLW扱いしていた偽占い師なら、夜が来た時点で破綻。冷静な村人なら、即座に状況に気づいてくれるでしょう。 代償は吊り数1回、占い師が偽と知らせる為が主目的ですので、むしろ情報は増えます。投票で狼が透ける事もあるかもしれません。 ついでに言えば、初日●を貰って吊られる素村の人も、広い意味ではこちらに入ります。 三、自分を吊れば詰み進行となる為 発動タイミングとしては、村視点、占い師が確定しており、かつ自分が確定真占いからみてグレーであり、残り吊り数と占い回数を合わせて確認した際、陣営の勝利が確定する場合。 効果としては上述の一・二を併せたものです。また、LWを保護する事もあります。 まあ、詰みの為の盤面整理。といえます。 四、狼が、狐を把握しており、飽和を回避する為 発動タイミングは、狼の残数に余裕がある事が大前提です。 狐を把握していなくても、潜伏狼が多数生存していれば、柱として出てくる事はありえます。 2~3匹しか居ない狼が、狐把握して居ないのに出てくる事は稀です。 まあ、出てくるなら、村を見くびられていると思ってもいいでしょう。 お前たちには狼も狐も見つける事なんぞ出来ない。とね。 把握している狼なら、多分吊り数増やしてくれますので、その告発された狐を素直に吊ってあげましょう。 ずっと置いといても結局勝てませんからね。 五、狐生存確定な状況での、告発誘導の脅迫の為 発動タイミングは、最終日4名、その日までに占い師が噛まれた後、平和が出ており、かつ、狩人がいない状況。 この状況では、高確率で狐生存でしょう。 そして、平和が出ているタイミングで、狼は狐を把握しており、そこを吊りに動いている・・・はずです。 ですので、素村を吊っておうどんにするぞ。と脅す行為で、引き分けにするように求める動きです。 ですが、狼が狐を把握していなければ、当然ですが出てきません。 まあ、単純に吊り勝てると思っているのかもしれませんが。 ただ、村視点、絶対に狐生存な状況である場合、ちょっと強引でも引き分けを目指しましょう。 適当に誰かを指名し、自分と相互投票とさせます。 そして、村陣営は自分に投票。と宣言します。 適当に選んだ相手が狐なら、おそらくそのまま引き分けます。 狼や素村なら、敗北濃厚ですから、おそらく出てくるでしょう。 まあ、面倒ですので、素直に告発してもらいたいですけどね。 さて、つらつらと説明しましたが、柱CO全般に言える重大な要素は、状況の把握です。 たとえば、真扱いされてる占い師が偽で、素村の自分に最後の●を投げてきた場合、自分が吊られて村が継続されれば、占い師は破綻です。 ですが、そこで柱COを行う前に、盤面を整理して確認しましょう。 残りの人外、いえ、狼の最大数は、何名ですか? 残り5人段階で、2wがある状況で、貴方があっさり柱宣言すれば、その柱宣言を敗北宣言扱いして、狼はすんなり貴方を吊りにいきます。 その辺りをしっかり見分けて、柱宣言をするかどうかを決めねばなりません。 霊がロラされて分からない? じゃあ騙り占い師が貴方を飼いたそうにしているなら、ほぼ1wのみです。貴方を吊れば破綻になり、自分が吊られてしまう。そんな状況なら、貴方吊りにはむしろ全力で反対してきますよ。 最後になりますが、柱COというのは基本的に村にとってあまり有益ではありません。 狩人でないと宣言するに等しく、また、吊られれば、ゲームからの退場となります。 ゲームからの退場を自分から宣言するのは、一般的に見れば、サレンダー・ギブアップと同意です。 私見ですが、戦略的突然死より、自陣営にマイナス効果を及ぼす分、軽挙な柱COは価値がありません。チーム戦である事を忘れてはいけないのです。 ですので、気楽に柱COをするのは絶対にやめましょう。それを村アピだと言い張るのも同様です。 それは、村陣営としては正しい姿勢ではありません。残って推理したかった人たちが、狼に噛み殺されたにも関わらず、生き残った者が、気楽に柱宣言して参加を放棄する。 そんな人を村陣営の一員として認めますか? それでも柱COを出す人が現れたら? 貴方がその人を村と断定する根拠が無いならば、吊ってしまいましょう。吊れない状況で出てくる柱など、どう考えても村人の行動ではありません。それは人外の所業です。LWが怖いなら、最終日にでも丁寧に葬ってあげれば良いのです。
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相手の強攻撃をさとりとその相手の戦闘力を合わせた威力で繰り出すさとりの強攻撃「心象攻撃」を確実に発動させる必殺サポート。 相手の場のどのユニットを対象にするかはランダムで決定されるが、その確立は人数で頭割りではなく一律20%とされているため、 戦闘開始時に相手が4人以下の場合だと相手を真似するわけではなくさとりの強攻撃 想起「恐怖催眠術」が発動することもある。 リリーの「春ですよー」はもちろん、人形の自爆まで想起するので、鍛えたさとりんが砕け散っても泣かないこと。 特別な処理として、想起した相手の必殺サポートを自分の場に出していれば、その必殺技を繰り出すことも出来る。 以下に検証した結果などを示す(カップル必殺技については検証中) 今日は厄日だわ、小さな百鬼夜行、気に入った!等の攻撃パターンを変化させるタイプの必殺サポートを出した場合、想起する技も変更される 同様に特製ストップウォッチを使った状態で咲夜を想起した場合、「夜霧の幻影殺人鬼」に変わる さらににとりの場合、河童の科学力は世界一の枚数による変化にも対応している 今日だけは本気だすを出さない状態でも輝夜の五つの難題は出せるが、出してあると1枚消費してしまう 逆に今日だけは本気だすを3枚出した状態で輝夜を想起すると、本人同様五つの難題すべてを繰り出すことが出来る 小町の必殺技である死神の鎌は即死技だが、元々の強攻撃「ヒガンルトゥール」も即死技のためさとりで想起させる場合どちらでも効果は変わらない なお、さとりのHPが1000以下の場合に霊夢、魔理沙、チルノを想起した場合、 それぞれの超必殺技が発動する。 当然自分の場に夢想封印・マスタースパークがある必要はある。 また場にマスタースパークがあり、かつ花の香りの招待状効果中に幽香を想起した場合も超必殺技が発動する。 心象攻撃の対象が星であった場合次のようになる。 星側にもさとり側にも、「毘沙門の塔」が存在しない → さとりは何もしない 星側に「毘沙門の塔」が存在していて、さとり側に存在しない → さとりは何もしない 星側に「毘沙門の塔」が存在せず、さとり側に存在する → 星の強攻撃・光符「浄化の魔」を発動する つまり、こちら側に「毘沙門の塔」が無ければ不発に終わる。星が相手にいた時は一応注意しておこう。
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さとり3 つながるこころ前篇(新ろだ530) この幻想郷で過ごすようになってもう1年が経つ。 幻想郷。人と妖怪が共存する最後の楽園。 俺は1年前何の前触れもなくいきなりこの幻想郷に放り出される形でやってきた(後に大妖怪「八雲紫」の仕業であると知るが…)。 外界にいたころには決して見ることの叶わないような自然がありのまま残された世界。 前も後ろもわからず困っていた俺を助けてくれたのは楽園の巫女、博麗霊夢と人間の里の守護者、上白沢慧音だった。 霊夢は非常に面倒臭そうだったが、それでも神社を一時的に宿として貸してくれたし、食事も振舞ってもらったので彼女には深く感謝している。 そうそう、もうひとつ。霊夢はものすごく勘が鋭い。 それこそ「心が読めるんじゃないか」そう思えるくらいに。 しかしいつまでも霊夢に甘えているわけにはいかないと思い、人里に移ることを提案した。 霊夢も「面倒が減って嬉しいわ」と満面の笑みで送り出してくれた。あんまりだ。 とはいえ、人里に人脈があるわけでもなかったので霊夢にある人物を紹介してもらうことになった。 その人物こそが上白沢慧音こと慧音先生だった。慧音先生は人里で寺子屋を開き、そこで里の子供たちに勉強を教えている。 慧音先生と同時に藤原妹紅とも知り合った。妹紅はなんでも蓬莱人という老いも死にもしない人間、と聞いている。 見た目こそ俺と同年代にしか見えないけど実際は気が遠くなるくらいの年月を生きているらしい。 さぞかしすごい経歴があるのかと思って尋ねたことがあるけど本人曰く、ヤキトリ屋らしい。 だが営業してるのを未だに見たことがない。どこでやってるんだろう? 慧音先生は幻想郷で住むところも働き口もない俺に色々よくしてくれた。幻想郷での命の恩人だ。 だから敬愛の念を込めて「慧音先生」と呼んでいる。本人は照れ臭そうに色々と言い訳をしていたが頼み込んでこう呼ぶ許しを得た。 なぜここまでその呼び方にこだわったのか自分でもよくわからなかったが。 妹紅にもからかわれて困ったように笑っていたのが今でも印象に残っている。 そうして地味ながらも暮らしていき、時々博麗神社の宴会に呼ばれたりして楽しみながら季節の移り変わりの中を過ごしていった。 すっかり人里にも幻想郷にも溶け込んでそろそろこの世界で骨を埋めようかなどと考え始めていた。 そんなある日、例のごとく宴会をやるとかで俺も呼ばれた。今回はいつもの小規模なものではなく、幻想郷のあらゆる場所から集結した人妖、神さえも集めての大宴会だそうだ。 どのくらいいるんだろう。俺が知ってる範囲でも結構な人数のはずだけど。 そもそも生活が結構苦しそうなのになぜこんな宴会が開けるのかと聞いたらなぜか「企業秘密よ」と陰陽玉で脅された。 一体何で金銭を得ているんだろうこの巫女は。確かに収入は必要なのかもしれないが脅されるようなこととは一体何を生業にしているのか想像がつかない。 すごく賑やかだ。多分四十人以上はいる。 当たり前のことなんだけど、こうして幻想郷中の人妖が集まっている様は圧巻である。 いつもなら霊夢、魔理沙、萃香、俺の四人くらいなのだ。たまにレミリアと咲夜さん、紫さんがやってくるくらいだ。 初めて見る人、もとい妖怪もたくさんいる。しかしいずれも女性ばかりで男一人というのもなかなか肩身が狭い。 皆それぞれに楽しんでいるようで、博麗神社はいつになく騒がしく、賑やかだった。 あちらこちらをきょろきょろと見まわしながらはじめて見る顔に挨拶をしに行ったり、酒をちびちびと飲んでいると、ふと女の子と目が合った。 ピンク色の髪にハート形の飾りがあしらわれたカチューシャをして、青色を基調とした服。そして何より体の周りから伸びた管、その中心の「目」が印象深い。 顔は一見幼いようでどことなく大人びた雰囲気が見え隠れしていた。 彼女の姿から目が離せなかった。同時に顔がだんだん熱を帯びていくのがわかる。 要するに、一目惚れ。 それが、俺の古明地さとりに対する第一印象で、比較的遅い人生初の恋愛のはじまりだった。 ------------------------------------- 彼女のことは何も知らないはずなのに。確かに心の中に芽生えている愛情。 ……一目惚れってこんな気持ちなんだ。 心臓の鼓動が外に聞こえそうなほど激しく高鳴っている一方で、冷静になっている自分がいる。奇妙な感覚だった。 彼女もまた俺を見つめていた。気のせいか多少困惑しているように見える。 気恥ずかしさからつい目を逸らしてしまった。 本当は彼女が気になるけれどこんな顔じゃ、ちょっとね……。 今の自分の心中を誰にも悟られたくなくて、縁側へ足が向いた。 「……ふう」 外の涼しさもあって多少頭の中がクールダウンされる。 でもまだ、あの気恥ずかしさは残ったままだ。酒の影響もあってきっと今もまだ俺の顔は紅いのだろう。 しかし恋愛沙汰なんて縁のないことだと思ったのに、こうも簡単に……。 「……らしくないなぁ」 「やあ○○。こんなところで飲んでるなんてどうしたの?」 「っと、萃香か。 ……ん、ちょっとね」 「んー? ○○顔紅いよ?」 「そりゃ酒飲んでるからね」 「まあそうなんだけど、そういうのとはちょっと違うような気がしてさ」 「……どうしてそう思うの?」 「いつもより紅く見えたから」 そう言ってあははと笑う萃香。霊夢ほどではないにしろなかなかどうして萃香も勘が鋭い。 ばれてはいないがまた照れくさくなる。それをごまかそうと萃香の頭を軽く撫でる。 「あー!子供扱いするなー、もー!」 ぷぅっと頬を膨らませる萃香。だが怒っているわけではなく、単に照れ隠しだと思う。これが鬼だっていうから世の中わからないものだ。 幻想郷の妖怪では相当力のある妖怪……のはずだが角が生えているということを除けば子供とそう変わりない。まあ常に酒を飲んでるわけだけど。 「……あの」 後ろから声をかけられて声のする方へ振り向く。 ……あ。 声の主は先ほど視線が合って、……そして一目惚れしてしまった。 紛れもない彼女だった。 「ど、どうも……」 どう言っていいかわからず、おずおずと答えてしまう。我ながら情けない。 しかし、様子を見る限り、彼女もまた俺と同じような心持ちらしい。何となくそれが嬉しかった。 萃香が俺と彼女の顔を見比べながらきょとんとした表情になっている。 「…はじめまして。私は古明地さとりです」 「…はじめまして。俺は○○です」 「「…あの!」」 声が重なってしまう。 こそばゆいような、居心地の悪い空気になってきた。 その時、無数の気配を感じハッとして俯き加減だった頭を上げ、周囲を見回す。 いつの間にか酒を片手に人妖たちがニヤニヤしながら俺たちに注目していた。 この日は宴会が終わるまで二人とも一言も発さず終始俯いて紅くなったままだった。 こりゃあ明日の明日の三面記事確定だなぁ……。 ------------------------------------- ……目が合ったその瞬間から、私の『目』はもう彼を追うことしか考えていませんでした。 私は覚。心を読むということはもはや呼吸と同意義。だから、彼の心の内は紙に水が染み込むように私に流れ込んでくる。 それこそ、紙が破れそうなくらい溢れんばかりに。 まだ芽生え始めたばかりの感情。はっきりとした形を伴っていないけれど、確かにそれは私に向けられたものだとわかりました。 それが何なのかわかった瞬間から、自分の頬がみるみるうちに紅潮していくのがわかりました。 同時に、私もまた自分の中に苦しさを感じます。私の中に芽生えたものと彼の中に芽生えた感情は、恐らく同じものでしょう。 人間に、それも異性の方にこんなに好意を寄せられたのははじめてのことです。 私もまた、誰かにこんな風に恋愛感情を持つ日が来るとは思いませんでした。 「私の事を知って欲しい」 ほとんど衝動に近い行動でした。自然と彼の方へと足が進んでしまう。 後ろ姿の彼に声をかける。 「……あの」 緊張して声を絞り出すのが精一杯でした。私らしくない、本当に消え入りそうなくらい小さな声。 彼は振り向くとすぐに驚いたような顔をして顔を紅くしながらきゅっと唇を結んでいる。ちょっとかわいいと思ったのは内緒です。 その後、簡単な自己紹介を済ませたのはいいのですが…、そこから続く言葉が見つからなくて俯くことしかできませんでした。 突然彼…○○が顔を上げたので何事かとつられて頭を上げ、彼と同じように辺りを見回しました。 みんな私達を見てニヤニヤした顔をしていました。当然、お燐もお空も。こいしもニヤニヤした顔ではありませんでしたが、くすくすと笑っていました。 同時にみんなの心中が一気に何十人分流れ込んできます。 自分の能力が恨めしいと感じたのはこれで何度目でしょうか……。 宴会が終わるまで、二人で俯いたままでした。 明日からみんなにどういう顔で接すればいいのかと思うと頭が痛くなってきます。 ------------------------------------- あの宴会の日からずっと、彼女…古明地さとりのことしか頭になかった。 恋は盲目とは言うけれど、今それを心底から実感している。 彼女はどこに住んでいるんだろう、どんなことが好きなんだろう。そんなことばかり。 仕事もどこか身が入らず、誰かに話しかけられてもワンテンポ遅れて毎度のように不思議な顔をされる始末。 二週間くらい、ずっとそんな調子だった。 そしてそれから何日か経ったある日、慧音先生にこう言われた。 「○○、君は古明地さとりのことが気になるんだろう?私が勧めるのも何だが、一度彼女に会ったらどうだ?宴会での様子を見る限り、きっと彼女も君と同じ心境のはずだ」 「…でも彼女の居場所を俺は知りません」 「そうか、君は知らなかったんだったな。すまない。彼女は地霊殿という地下深い所に住んでいる。ちょうど博麗神社から地下へ続く穴がある。ただ君一人向かわせるのは危険だしな…。」 「だったら、一度神社に行って霊夢に相談してみます」 「それもそうだな。さっそく出かけるのか?」 「はい!」 聞いたらいてもたってもいられれなくなった。行動あるのみだ。早速博麗神社へと向かう。 彼女に会えるかもしれない。そう思うと、神社へ続く階段もさほど苦にならなかった。 ほどなくして、境内が目に入ってきた。 霊夢はどこだろうか。まあ掃除してるか縁側で茶でも啜ってるんだろう。 すぐに縁側に霊夢の姿が見えた。 「おーい、霊夢ー!」 「あらいらっしゃい○○、素敵な賽銭箱ならあっちよ」 「はは、あいにく今日は大して持ち合わせてないんだ。けど代わりにこれを」 「何かしら」 そう言って俺は羊羹を取り出す。ちゃんと話を聞いてもらうためにもまずは機嫌を良くしておかないとね。 途端に表情が明るくなる。…案外顔に出やすいヤツ。 「…羊羹なんて何ヶ月ぶりかしら。有難くいただいておくわね。ところで○○、お茶いる?」 「あ、いや。今日は霊夢に相談があって来たんだ」 「相談?」 「うん。さとりの事なんだけど…。彼女にどうしても会いたいんだ。けど地霊殿まで安全に行ける方法がわからなくて…」 「なるほどね。確かにうちの神社から地下への道はあるけど、人間が地霊殿まで行くのは決して安全ではないわね…」 「だから、霊夢ならいい方法知ってるかなって」 「そうねぇ……。………あ。○○、もう悩む必要ないわよ」 「え?」 そう言って彼女は向こうを指差す。その視線の向こうには。 さとりがこちらへ歩いてくるのが見えた。 俺と目が合った瞬間、あの日のようにまた、頬を紅く染めて。 ------------------------------------- 「……また、お会いできましたね○○」 「ええ…」 だめだ、やっぱりぎこちなくなる。いざ対面するとなかなか言葉が出てこない。 霊夢も隣で羊羹食べながらニヤニヤすんな。 「ほら○○、あなたは地霊殿へ行きたいんでしょ?」 「ああ、うん…。地霊殿へ行きたいんだけど、連れていって欲しいんだ」 「……はい。 私もその、あなたを迎えに行くつもりで来ましたから」 そっか。お互い様だったんだ。あれ?でもさとりも俺の居場所なんて知らないんじゃ? それを言おうとすると先に霊夢が口を開いた。 「……ねえ、さとり。あなた○○の居場所なんて知らないでしょ? 迎えに行くにしてもどうやって探すつもりだったのかしら?」 「……実は、あまりその辺は深く考えていませんでした」 「○○のことだけでいっぱいで、他に考えが回らないから?」 目を細めて、にんまりとした表情で霊夢が言う。さとりには知的なイメージを持っていたから俺も驚いてしまった。 「うぅ……」 真っ赤になって両手で顔を押さえながらさとりは俯いてしまった。 同時にくすぐったかった。そこまでしてくれるのかと思うと嬉しくてたまらない。 「ま、まあせっかくこうして会えたわけだし地霊殿まで連れて行ってくれないかな?」 「……はい」 ほんのりと紅い頬をしながら笑顔で答えた。 そういえばさとりの笑顔を見たのってはじめてだなあ。慈愛って言葉がぴったりだった。 「それじゃあ霊夢、色々とありがとうな」 「ううん、気にしないで。 それよりもあなたたち、早く行きなさい。羊羹以外の茶請けなんて必要ないの。地下の入り口はそっちだからね」 少し困ったような笑顔で、追い払うように手をひらひらさせる。 「……んん、そ、それじゃあね」 恥ずかしくなり、思わずさとりの手を引いて地下への入り口へ歩いていった。 ……女の子の手って柔らかいなあ。 そんな馬鹿なことを思いつつ、歩を進めた。 ------------------------------------- 博麗神社に辿り着くまで、私の頭の中は○○のことで埋め尽くされていました。 ○○に会ったら何を話そう、地霊殿に○○が来た時はああしてあげたいこうしてあげたい。 地霊殿でも、お空やお燐からボーッとしていると散々言われてしまった。 本当に、私らしくないわ。 ○○に会いたい。その気持ちに嘘偽りはありません。でも、ひとつだけ不安なことがあった。 私の能力。「相手の心を読む」ということ。この能力を恐れられて私たちは忌み嫌われ、地下での生活を余儀なくされてきたのです。 伝えるのが怖い。彼がこの能力を知って私を嫌ってしまったら…? ○○が遠くなるのが脳裏に浮かんでしまう。私は必死にそれを振り払う。 でも、それでも。伝えなくてはならない。 この不安を抱えたままでは会ったけれど、今は○○に会いたいという気持ちが打ち勝っていました。 やがて地上の光が見え、博麗神社へと辿り着く。 すぐに○○の姿が目に映りました。どうやら霊夢と話の最中のようです。やがて霊夢が私に気づき、指差して○○に伝える。 「……また、お会いできましたね○○」 「ええ…」 その、会いたいという気持ちだけでここまで来たのはいいのですが。 やはり本人を目の前にするとどうしてもぎこちなくなってしまいます。 「ほら○○、あなたは地霊殿へ行きたいんでしょ?」 「ああ、うん…。地霊殿へ行きたいんだけど、連れていって欲しいんだ」 「……はい。私もその、あなたを迎えに行くつもりで来ましたから」 ただ、会いたい一心でした。 実はその後の事は何も考えていなかったんです。 感情がすべての行動に勝っていたという事実。本当に私らしくない。 「……ねえ、さとり。あなた○○の居場所なんて知らないでしょ? 迎えに行くにしてもどうやって探すつもりだったのかしら?」 「……実は、あまりその辺は深く考えていませんでした」 「○○のことだけでいっぱいで、他に考えが回らないから?」 図星でした。仕方ないじゃないですか、そんなの。 ○○の心の声が聞こえてきます。 (さとりって結構知的なイメージだったんだけどなぁ・・・) 「うぅ……」 ……そういうイメージで見てくれたことがうれしい反面、こんな失態を見せることになってしまうとは。 恥ずかしい。まともに○○の顔が見れずに、思わず両手で顔を押さえてしまう。 「ま、まあせっかくこうして会えたわけだし地霊殿まで連れて行ってくれないかな?」 「……はい」 照れくさそうにしながらも笑顔で私にそう言う○○。 (……さとりの笑顔見たのってはじめてだな) ……あ。私もつられて笑っていたようです。自分でも気がつかないくらい、自然に。 「それじゃあ霊夢、色々とありがとうな」 「ううん、気にしないで。 それよりもあなたたち、早く行きなさい。羊羹以外の茶請けなんて必要ないの。地下の入り口はそっちだからね」 霊夢が追い払うような仕草をしながらそう言います。同時に、私に視線を移し、一瞬だけ、笑っていました。 一瞬だったので心の中までは見えなかったけれど、何を伝えたかったのかは心を読む間でもなくわかります。 「がんばりなさいよ」 軽く頷くと、くいっと手を引っ張られる感触。どうやら○○が場の空気に耐えかねてこの場を離れたかったようです。 握られた手から、○○の温かさが伝わってきます。 この手の温かさをもう離したくない。 でも、私は。 彼に伝えなくてはならない。 ------------------------------------- 思わず逃げてきてしまったのはいいとしてどうしよう。 さとりがいるなら地霊殿まで迷うことはないだろうけど。 ただ、俺は至って平凡な人間だ。当然飛べるわけもない。 さとりに向き直って聞いてみる。 「……あのさ、地霊殿まではどのくらいかかるの?」 「そうですね…、飛んで行けばあっという間ですけど○○は飛べないでしょうし私が運んでいっても構わないのですが」 そう言って俺の顔を見て、両手で俺の手を握りなおす。 「一緒に歩きながらじゃ…ダメですか?」 「そうだね……」 その方が長くさとりと二人きりでいられるもんな。 …思ってたより大胆だな。俺の方がドキドキしてしまう。 「とりあえず地下にたどり着くまでは縦穴が続いてますから、そこまでは私が運びます」 「うん、お願いするよ」 そしてさとりの手を取って、地下へ降りる。 地上の光が徐々に遠くなり、空気もだんだん冷たくなってゆくのが肌で感じられた。ただし、手の温もりはそのままに。 「っと。ずいぶん深くまで来たな……」 「ええ。ここから地霊殿まではまっすぐ行くだけですから迷うことはないと思います。ただ、途中で何人かの妖怪に会うことになりますけど」 「そっか。宴会にも来てたんだよね?」 「……はい」 「ってことはやっぱり……」 会ったら絶対からかわれるんだろうなあ…。 まあ仕方ないか。 手を繋いだまま地下世界を歩いて行く。 「…っくしゅ!」 「大丈夫ですか?」 「ああごめん、…思ったより寒いな、ここ」 ちょっと薄着だったかな…。地霊殿につくまでに風邪なんか引いたら洒落にならないぞ。 「おやおや、ずいぶんと可愛らしいくしゃみだねぇ」 気づくと目の前に人影が立っていた。どうやら声の主らしい。 「……あなたは?」 「ん?そうか、あんたは宴会の時挨拶しなかったもんねぇ。私は黒谷ヤマメだよ」 「俺は○○です、宴会の時はちょっといろいろあって挨拶できなくて申し訳ないです…」 「ああいいよいいよ、それよりも、だ」 ヤマメさんはニヤニヤしながら俺たちを一瞥する。 「ずいぶんとまあ仲良くしてるみたいだねぇ」 「ええ、と……」 答えに窮するさとり。 まあ宴会の時といい今といい、言い逃れはもうできないだろうしなあ。 「今から地霊殿にでも行くのかい?」 「ええ、まあ」 「そうかいそうかい。そんな二人の邪魔しちゃ悪いね。それじゃ私はこれで失礼するよ」 「そんな、邪魔だなんて……」 「……早く行きましょう、○○」 手を強く引っ張られる。心なしか少し怒っているように見えた。 「あっはは、困ったことがあったらいつでもおいで。お姉さんが悩みくらい聞いてあげるよ!」 そう言って大笑いしながらヤマメさんはどこかに行ってしまった。 早速の歓迎に俺は苦笑いするしかなかった。 「まったく……」 ……やっぱり怒ってた。 その後、旧都と呼ばれる場所に続く橋でパルスィという妖怪に「飛んで行けばいいようなものを、わざわざ歩いて見せつけるなんて妬ましい」と嫉妬されてしまったり、 旧都でも一本角がたくましい勇儀さんに呼び止められてまたもからかわれてしまったり。 酒も勧められたが丁重にお断りした。宴会での飲みっぷりを少し見たけどあれは萃香と同レベルだったし。 なんかずいぶんと疲れたがたぶん精神的な疲れだろう。 そうして道中退屈することもなく、俺たちは地霊殿へ到着した。 「ここが地霊殿……」 イメージしてたのとずいぶん違う。旧都の風景とはがらりと印象の変わった建物だった。 黒白のチェック模様の床に様々な装飾が施されたステンドグラスが目を引く。 「疲れたでしょう?早く中に入ってくつろいでください」 そう言って優しく微笑む。 この顔見てるだけで精神的な疲れなら吹っ飛びそうんだんだけどなあ……。なんて言ったら怒るんだろうか。 急にさとりが驚いたような顔をして照れくさそうにしている。どうかしたのかな? そういえば地霊殿の中は外と違って暖かい。暖房設備でもあるんだろうか。 「あ、お姉ちゃんお帰り!」 「あら、こいし。ただいま」 こいしと呼ばれた子が俺たちを出迎えてくれた。 「この子は古明地こいし。私の妹です」 「よろしくね!えっと、あなたは○○でよかったかな?私のことはこいしって呼んでね!」 「そうだよ。よろしくね、こいし」 「えへへ、よろしくね、○○!」 元気な声で答えるこいし。 「こいし、お空とお燐を呼んできてくれる?」 「うん、わかった!」 そう言われてこいしは地霊殿の奥へ走っていった。 ずいぶん嬉しそうだったけど。 「ふふ、久しぶりのお客さんが来て嬉しいようです」 「歓迎されてるってことでいいのかな?」 さとりが唇に手をあててくすくす笑う。 よく考えれば人間自体ここに来ることなんてまずないだろうし、そりゃ珍しい来客になって当然か。 「お姉ちゃーん、連れてきたよ!」 「ご苦労様、こいし」 「さとり様ー、呼んだ?」 「何か用事でも?」 こいしと共に後からさらに二人が現れた。 一人は猫のような耳に二本の尻尾。猫の妖怪かな? もう一人は大きな黒い翼を生やし、腕に六角形の筒状のものを付けていた。見る限りは鳥の妖怪だろうか。 「…来ましたか。こちらは○○。わざわざ地上から来ていただきました」 「あー、あの宴会の時のおにーさんか。あたいは火焔猫燐。お燐って呼んでくれると嬉しいな」 「ああ、よろしくお燐」 「ところでおにーさん、なかなかいい死体になりそうだねー」 「え?」 「…お燐?」 ジトっとお燐を睨むさとり。 「じょ、冗談だよぅ」 「…まあいいでしょう。お空、あなたもご挨拶なさい」 「あ、うん。私は霊烏路空。お空でいいよ。よろしくね、○○!」 「わかったよ、お空」 「ところで○○、私とフュージョ…」 「フュージョンとかいうのは禁止ですよ、お空」 「う……」 「○○を溶かす気ですか、まったく……」 「ははは…」 一癖ありそうだけど、悪い子たちじゃなさそうだ。 「ところでお姉ちゃん、○○のこと好きなの?」 「ぶっ!!」 「ちょっとこいし!?」 突然なんてことを聞きやがりますかこの子は。限りなくイノセントだ。 いやまあそう聞かれたら大好きだって言いたいけどさ、その、空気というか…。 「でもさとり様もまんざらでもなさそうだったよねー」 「うん、宴会から帰ってから○○がどうとか独り言も聞いたよー」 「ああああなた達……!」 いや、嬉しいけどちょっとこの状況はまずいぞ。さとりの顔がまるでホオズキのように真っ赤になる。 目をとろんとさせて体がふらふらしてきている。やばいって……。 「○○、お姉ちゃんのことよろしくねー」 「おにーさん、頑張りなよ!」 こいしにさとりを任され、お燐にポンッと肩を力強く叩かれた。えぇ、何この展開。 そしてお空のこの一言がトドメになった。 「さとり様ー、いつ結婚するの?」 「あ、あ、ああぁぁ……」 ばたんきゅーという擬音が聞こえてきそうだった。 羞恥心に耐えられずにさとりは気絶してしまう、って悠長に構えてる場合じゃない。 「ちょ、さとり!」 「お空、あんたトドメ刺しちゃダメでしょー!」 「何さー!お燐だってー!」 「ま、まあとにかくまずはさとりを運ばないと」 こんなところにさとりを放っておくわけにいかない。 とりあえずどこかの部屋にでも運んで寝かせないと。 「えーと、さとりの部屋ってどこかわかる?」 「あ、私が案内するよー」 そういって挙手するこいし。 「それじゃあ案内をお願いするよ」 「まかせて」 俺はさとりを抱きかかえてこいしに続く。 ……あれ?さとりが気絶するきっかけ作ったのって誰だっけ……? まあいいや。今はそれどころじゃないし。 やがてこいしが立ち止まり、こちらに振り向く。 「ここだよー」 「ありがとう」 …しかし、無断で女性の部屋に立ち入るって形には違いないんだよな、これ。 ちょっとだけ罪悪感が沸く。 そしてさとりをベッドまで運びゆっくりと寝かせる。 「ふう」 「ご苦労様」 「こいしもね」 まあしばらく起きてこないだろうし、これからどうしたものか。 そうやって考えていると、こいしに袖を引っ張られる。 「ねえねえ」 「んー?」 「○○って外の世界の人間だよね?」 「そうだけど」 「だったらお話聞かせて?地上にはよく遊びに行くけど外の世界には行けないから」 「そうだね。ここでこうやってるわけにもいかないし、さとりもしばらくあのままだろうしね…」 「私の部屋でお話しよ?お空とお燐も呼んで四人でね」 「行こうか?」 「うん!」 そうしてこいしの部屋で外の世界のあれこれを延々3時間くらいは話してた気がする。 こんなに長く人に話したのは久しぶりだった。質問攻めが激しすぎてすっかり疲れてしまった。 「それじゃあ、一度さとりの様子を見てくるよ」 「いってらっしゃい」 まだ寝てると思うけど、一応ノックしてから入る。 「お邪魔しまー…す、っと」 予想通りまださとりは眠ったままだった。 まあこうなってしまったのもある意味俺のせいだし、最後まで責任持たないとね。…別に変な意味じゃないよ? しかし、これは…。 寝顔もまた笑顔に引けを取らず魅力的だ。さっきまであんなに慌てていたとは思えない。 まああんまりじろじろ見るのも失礼だし、どうしたものか…。 「ん…んん……」 お、さとりが目を覚ましたようだ。 「気がついた?」 「…ん、○、○…?○○!?」 俺に気付いて寝ぼけ眼から一気に覚醒、跳ね起きる。 「あ、あの。私、今まで……?」 「うん、気絶してから三時間くらいかな。そのくらい寝てた」 「そう…ですか……」 額に手をやってため息をつくさとり。 「はは…。しかし、気絶するとは思わなかったよ」 「それは……」 なんだかばつが悪いというか、歯切れが悪いような……。 さとりが俺に向きなおり、真剣な面持ちにで口を開く。 「……○○」 「ん?」 「私はあなたに伝えておかなくてはならないことがあります」 「なんだい?」 「私は妖怪、『覚』。その能力は…、人の心を読むことです」 「人の心を読む……」 俺はさとりの能力について今はじめて知った。 ……そうか。思えばちょっと違和感のようなものを覚えていた。 気絶してしまった時もそうだ。少し反応が過敏だった気がする。 俺だけでなく、お燐やお空たちの心の内もすべて聞いていたんだ……。 それだけじゃない。今まで。 はじめて俺と出会った時からずっと俺の気持ちは知られていたんだ。 でも、だからそれが何だっていうんだ。それでも俺がさとりが好きだということに何の変わりもないじゃないか。 さとりだって勇気を出して自分のことを打ち明けてくれた。 だったら俺にできることってなんだ。そんな彼女の気持ちに応えてやることじゃないのか? 本当は今まで一人でずっとこの気持ちを抱え続けていたんじゃないのか。 俺にできることは、そんな一人ぼっちで膝を抱えているさとりをここから連れ出すことだ。 傲慢なのかもしれない。だけど。 さとりが不安げな表情で俺の顔を見上げる。 「さとり……」 「……黙っていてごめんなさい」 「…いいんだ。確かにさとりには心を読むという力がある。でもそれと俺の気持ちは関係ない」 「○○……」 「ずっと知っていたかもしれないけど、言うよ。さとり、君が好きだ。これからもずっと隣にいて欲しい」 「……○…○…。本当…ですか?ううん、本当に…?怖くはないの?心を読まれるだけで色々な人から拒絶されて、忌み嫌われてきたのよ…?」 「嘘はついてないよ。心を読めるさとりなら、それがわかるよね?」 嘘なんかじゃない。驚きこそしたけど、俺は彼女のすべてを受け入れる。 一人でずっと震えて、怯えて。そんな子を放っておく奴なんかいないだろう? 「……ああ…っ。ぅ、ううぅ……」 抑えきれずにさとりの目から涙が零れ落ちる。 静かに彼女を抱き止め、さとりは俺の胸に顔を埋めたまま泣き続けた。 それからどれくらい経っただろうか。ひとしきり泣いたさとりは安らいだ表情だった。 「……こんな風に誰かに受け入れてもらえるなんて思わなかったわ」 「俺だってさとりの気持ちを完全に理解してたわけじゃなかった。でも、好きって気持ちに嘘偽りはなかったよ」 「はい。私も○○が持っているのと同じくらい、○○の事が……」 「…ありがとう。直接伝えられて本当によかったと思ってる。」 「私も、あなたの口から伝えられて、嬉しい……」 「……さとり。口から伝えられることはもうひとつあるよ」 「え……」 さとりの頬に両手を当て優しく顔を引き寄せる。 目を瞑り、ゆっくりと互いの唇を口付ける。 「……ふ…っぁ…んん……っはぁっ……」 軽い口先の触れ合いから徐々に舌を絡める濃厚なキスになってゆく。 互いに唇と口内の感触と味を存分に刻み込む。 「……んぁ…ちゅ……っう……っはぁ……」 唇を離し、しばらく余韻に浸りながら見つめ合う。 お互いに頬は紅く染めたまま。 「……言葉じゃなくてもさとりへの気持ちは伝わっただろ?」 「……はい」 うっとりした表情でさとりは頷いた。 もうこれで、さとりの不安は取り除かれただろうか。 「○○、みんなのところへ行きましょう」 「……涙の跡が残ってるけど、いいの?」 「あ……。ふふ、こんな顔じゃ出られませんね…」 そういって指で涙の跡を拭う。 「そうだ、さとり」 「?」 「まださとりのこと全然知らないけど、これからよろしくね」 「ふふっ……、お互い様です」 さとりがしなだれかかってきて、その肩を抱きとめた。 ------------------------------------- 私はずっと○○を疑っていたのかもしれません。 でもそれは、ある意味では仕方のないことでした。 何百年という時の中で私たちが受け入れられたことはなかった。心を読む能力の所為で忌み嫌われ、地上を追われて。 地霊殿という地を得たけれど、結局それは望んで手に入れた場所ではなかった。 管理者が必要だったという理由でそこにいたに過ぎなかった。 ○○も私の能力を知ってしまえば私から離れてゆく……。 ずっと、そう思っていた。 けれど、彼はそんな私の不安や疑心を根本から打ち砕いた。 外の人間だったから。確かにそれもあるかもしれない。 それ以上に○○が私に向け、注いでくれた愛情が純粋で、深くて。 私の能力について打ち明けた時も少し驚いたような顔はしていたけれど、それは拒絶という意味ではなかった。ただ知らなかっただけ。そんな顔でした。 その後、何事もなかったかのように私に接してくれた。それだけで私がどれだけ嬉しかったことか。 私もまた、○○に一目惚れをしていました。 今まで異性に触れる機会などほとんどなかったからかもしれない。 でも、私たちは全く同時にお互いを好きになったから。だからこそ、彼を信じてみよう。そう思えたのかもしれない。 偶然でも必然でも、そんなことはどうでもよくて。 この人だから、好きになれてよかった。 そして今、私たちはお互いを受け入れ、結ばれた。 あなたがあの時口から伝えてくれた言葉が嬉しかった。 あなたがあの時心から思ってくれた想いが嬉しかった。 ○○、愛してる。 どうか私を、離さないで。 ------------------------------------- 「さてと、そろそろみんなのところへ戻らなきゃね」 「そうですね。ずいぶんと待たせてしまったみたいですし」 そして俺たちは部屋を出て、こいしたちが待っている部屋へ戻っていく。 「…お姉ちゃんやっと起きてきた」 「おや、おにーさんお帰り。さとり様もおはようございます」 「○○にさとり様おかえりー、ずいぶん時間かかってたみたいだけど何かあったの?」 「お空、そりゃ野暮ってもんだよ」 「うにゅ?」 「あー、お姉ちゃんと○○手繋いでる!」 こいしが俺たちを見て指摘する。お互いに顔を見合わせて笑う。 「…ええ。こいし、お空、お燐。改めて紹介します。こちらは○○。私の恋人です」 「「「おおー!!」」」 3人から歓喜と驚きの声が上がる。 「えと。そんなわけで、さとりと恋人同士になりました。みんな、これからよろしくね」 「よっ、この幸せ者!」 「「しあわせものー!」」 …なんか改めて宣言すると照れくさいなあ。 っと、ついでに伝えないといけないことがあるんだった。 ここに来るまでにさとりと話し合って決めたこと。 「あのさ。みんなにお願いがあるんだけど、いい?これからは地霊殿に住もうと思ってるんだけど」 「もちろんだよ!」 「大歓迎だよー!」 「わーい!」 3人は快諾してくれたようだ。よかったよかった。さて、さとりは…。 「……もうあなたは家族ですよ。これからは五人、ずっと一緒です。でも……」 そう言って俺の頬に柔らかい感触が当たる。 三人は目をまんまるにして驚いている。 「なんといっても、恋人ですから」 そう言ってさとりはくすくすと笑った。 家族として。恋人として。 まだお互い歩き始めたばかりで知らないことだらけだけど、これからよろしくね、さとり。 けれど。その気持ちが揺らぐことになる。 そしてそれが大いに俺を苦しめることになるとは、この時思ってもみなかった……。 ------------------------------------- あとがき 以前うpしたものに修正・大幅の加筆をしました。 さとりと会うまでの前置きが長い気がしないでもないなあ…。 ○○という人物のディテールをどうやって表現するか悩んだ結果がこれだよ! ともあれ、一応これで前編終了。 後編は期待せずに待っていただければ、と…。
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no +信仰 コスト 戦闘力 HP df 労働 知識 探索 特殊能力 052u -5 000000 005000 100 10 4 8 10 読心 古明地姉妹の効果でこいしのお守を任される事が多い苦労人。 異変解決能力も高いのだが、こいしがいる=血で血を洗う弱者殲滅デッキである事が多く 信仰収入がマイナスでもある事から地道に異変を解決するようなデッキでは御呼ばれせず、 こいし率いる殺戮軍団のお伴としてドンパチやっている事が多い。 さり気なく知識と探索力の数値も高いため、異変解決要因としても使えないことはない。 信仰%がマイナスなのが少し気になるが… しかし最近ではそういった役割は鳴りを潜め、むしろマミゾウなどの動物組や、永琳などと一緒に居ることの方が多い。 前者においては高倍率の攻撃を積極的に狙っていける他、某チートカードと合わせることで、殆ど全てのキャラの強攻撃を確実に狙っていけるコンボが存在し、 後者はお馴染みの全体不死化を狙っていける。 また、戦闘力がインフレしていることを逆手に取り、手出しさとりで逆転手を狙っていくという芸当も増えてきた。 読心は味方の次の攻撃が弱中強どれなのか判別できる。ただしこいしだけはわからない。 相手を殺し切るのに火力が足りるか、必殺や霊撃の補助が必要かを事前に判別できるため 攻めまくるデッキでは有用な能力。決しておまけ能力などと侮るなかれ。 永琳など、特定の技に特殊効果があるカードとの相性はかなり良い。 もう一つの特徴として、強攻撃が他のユニットと少し異なる行動をとる。 それは相手ユニットの持つ強攻撃の一つを、 対象となった相手ユニットの戦闘力を自分の戦闘力に上乗せして発動させる「心象攻撃」というもの。 想起-3rd eye-の必殺を使うことで、この心象攻撃を確実に発動させることができる。 心象攻撃について詳しい説明は想起-3rd eye-の項目を参照。 高い戦闘力を持つ相手でも、これを使えば戦闘力5000のままでも有効打を与えられる。強敵と戦う際にこそ使いたい必殺である。 攻撃内容はあくまで対象キャラの強攻撃に依存するため、衣玖さんや輝夜(Lunatic)を想起すれば怒涛の連続攻撃を行えるし、 Easyユニットやリリーをコピーしてしまえば実質不発に終わる。 勿論永琳やルーミア(EX)を想起すれば前者なら全体不死、後者なら全体スキマとなる。 自爆による死亡も再現されてしまうので要注意。 また、さとりの心象攻撃は相手の能力も一時的に真似る。つまりレミリアが対象となった場合、カリスマ付きの不夜城レッドが炸裂する。 そのキャラになりきるさとりに全崖s さとりファンが感動した。 ちなみに「破壊」はコピーしない模様。 TvsVになってから追加されたテーマと専用霊撃により、元々器用だった立ち回りがさらに際立った。 両方とも上手く使えれば試合の流れを引き込むだけのスペックはあるため、使いこなせるようにしていきたい。 ピーピングのコストの霊力20は若干重い感じがするが、 手札を見ることによりそれ以上に霊力の無駄遣いを節約できたりするので実質的にはそこまで重くは無いはずだ。 どうしても嫌ならさとえーきは読心裁判を使ってみよう。 なお、姉妹共々異変でも狙えるようになったことも覚えておくと良いかもしれない。 攻撃 弱 通常弾幕 単体 戦闘力×0.3 1回 中 想起「テリブルスーヴニール」 全体 戦闘力×0.2 1回 強* 想起「恐怖催眠術」 全体 戦闘力×0.3 1回 必殺 脳符「狂戦士催眠術」** 味方 狂戦士化 *相手の場にユニットが居ればそのうち1体を選択、そのキャラの強攻撃を戦闘力合算で繰り出す。 **さとりとこいしは対象外 超必殺 「カンダタロープ」 全体 戦闘力合算×0.3 1回 超必殺 「ジェラシーボンバー」 全体 戦闘力合算×0.35 1回 超必殺 「金剛螺旋」 全体 戦闘力合算×0.4 1回 超必殺 「死体繁華街」 全体 戦闘力合算×0.45 1回 超必殺 「巨星堕つ」 全体 戦闘力合算×0.5 1回 関連霊撃 465m ピーピングベアード 20 さとり専用 手札まる見え 関連サポートカード 196s 古明地姉妹 さとり×こいし こいし定住 198s さとりペットショップ さとり×動物系 動物は強いスペルが出やすい 199s なかよし地霊殿 さとり×空×お燐×こいし 戦闘力リンク 200s 嫌われ者ホットライン さとり×パルスィ×ヤマメ マイナス収入をプラスに 292s 太陽の祝福 サニーミルク×地霊殿 地熱強化 529s さとえーきは読心裁判 さとり×映姫 専用霊撃半減 220s 想起-3rd eye- 必殺:さとり 271s 地霊トラベルバス 超必殺:さとり×こいし 272s 狂戦士催眠術 必殺:さとり 252S さよなら人類 独立宣言:脱霊魔咲早妖 キャラ制限ボーナスLv1 246s 地霊殿は秘めたる想い 独立宣言:地霊殿オンリー リモートサポート 249s 文花帖はブン屋の意地 独立宣言:文花帖オンリー 文とはたてに『根性』 テーマソング 352S ♪少女さとり さとりのテーマ すべて想起 特別な入手方法 異変「恐怖催眠術入門」(H)をクリア
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『さとりん可愛いよさとりん』 1KB 愛で いじめ 虐待 小ネタ 希少種 キティガイ人間さんに注意 さとりは今までゆっくりできていませんでした さとりのことをきょういくしてくれたブリーダーさんは 「さとりの為だから頑張ってくれ」と言いながら さとりのことをうっとおしく思っていました きっと、さとりがにんげんさんのこころをよめるのがゆっくりできないからなのでしょう さとりがいたゆっくりショップのにんげんさんは さとりをゆっくりできないものを見る目で見ていました このにんげんさんも、さとりにこころをのぞかれるのがゆっくりできなかったのだと思います でも、今はゆっくりしています ごはんさんは今までたべたこともないような生ごみさんばかりで、たまにガラスのかけらさんもたべさせられ、 目をあわせるたびにぐーでなぐられても、さとりはゆっくりしています なぜならおにーさんがさとりのことをだいすきだとおもっているからです 「涙をこらえるさとりん可愛いよさとりん」 「生ゴミを無理やり食べようとしてえずくさとりん可愛いよ」 「さとりんが可愛すぎるのが悪いんだよ。だから殴っちゃうんだよ」 「さとりんが好き過ぎて生きるのが辛い」 ことばに出さなくとも、さとりにはわかります いくらゆっくりできないことをされても、おにーさんがさとりのことをすきでいてくれればゆっくりできるのです さとりはせいいっぱいおにーさんをゆっくりさせます だから、おにーさんはさとりのことをきらいにならないでください ステキあき anko3116 美味しいピザ饅 anko3069 死んで花実が咲くものか anko2931 ゲスって何?